メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

神隠し?

《2007年4月15日付けの記事を修正して再録》

上記の駄文に、高校時代の思い出を一つ書いたけれど、果たして自分はあの三年間でいったい何を学ぼうとしていたのか、とんと思い出すことができない。

まずどんな本を読んでいたのかさっぱり思い出せない、というより本は殆ど読んでいなかった。

授業で何を学んだのか、これもなかなか思い出せない。授業中はとにかく良く寝ていた。

まあ、安らかに寝かせてくれる先生だけではなかったけれど、入学と同時に居眠りばかりしていたから、じきに寝ていることが常態であると思われてしまったのだろう。

ある日、そういう風に諦めて何も仰らない先生の授業でスヤスヤと眠っていたところ、突然、頭に衝撃を感じて目を覚まし、何ごとかと思って前を見ると、普段は温厚なその先生が手に棒を握り締め、ワナワナと震えながら私の顔を睨んでいるのである。

「えっ!?」と思い、先生が教壇に戻って授業が再開された後、隣の奴に「い、いったい何が起こったの?」と訊いたら、「お、お前、もの凄いいびき掻いておったぞ」と呆れていた。

部活は柔道部に入って、お荷物部員となったけれど、さすがに道場では居眠りなどできるはずもない。

ところが、ある日、ウトウトと深い眠りから覚めて、周囲の状況を窺うと、そこはどうやら道場のようであり、柔道着姿の先輩が上から見下ろしている。

私は思わず「いかん! ついに道場でも居眠りしてしまった。これは大変なことになるぞ」と大いに焦ったものの、体が直ぐには言うことを聞かない。どうしたのかと思ったら、要するに、寝技で締め落とされていたのである。それが解ると妙にホッとした。

さて、いつのことだったか、昼食を取った後に教室でぐっすり眠ってから目を覚ますと、教室にいるのは私一人、辺りには誰も見当たらなかった。

「あれっ?」と思って、隣の教室へ行くと、そこももぬけの殻。それから3~4の教室を覗いて人っ子一人いないことが解り、「どうしたんだろう?」と首を捻りながら職員室へ行ったところ、がらんとした職員室はシーンと静まり返っていた。

「いったい何が起こったんだ?」と、今度は隣接する寮まで走って行ったが、寮にも全く人影はなし。空っぽの大食堂に佇み、教室で眠りにつく前の状況を一生懸命に思い出しながら、何が起こったのかを冷静に考えようとしたけれど、その日は朝から普段と全く変わらない一日であり、特別なことは何一つ思い当たらなかった。

それから、ふと考えて、未だ体育館の様子を見ていなかったことに気がついたので、のそのそ歩いて体育館の方へ赴き、重い鉄の扉をよっこらしょと開けて見たら、そこには全校の生徒・教職員が集まっていて、壇上では何だか偉そうな人が偉そうに喋っているところだった。

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