メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

米国選挙の不正/CIAの謀略

米国ではトランプ大統領の支持者らが選挙の結果を不服として集会を開いているらしい。いったいどうなってしまったのだろう?

トルコでも、エルドアン政権寄りでトランプ大統領にも好意的だったサバー紙のようなメディアで、例えば、サバー紙主筆のメフメット・バルラス氏が「米国の民主主義は、死人にも投票権を与えているようだ。トルコでは未だ生きている人しか投票できない」などと不正の可能性に言及していたけれど、少し皮肉ってみたぐらいの書き方であり、速やかに「バイデン新政権への対応」を巡る論説が紙面を埋めるようになっていた。

不正があったとして、その規模を云々するより、新政権への対応を論じる方がトルコにとって重要と考えているのではないだろうか? エルドアン大統領も11月10日の段階と多少遅くなったものの、バイデン氏へ祝意を伝えたという。

トルコがバイデン新政権に不安を感じていたのは、再び「中東」への介入を強めるのではないかという懸念からのようだが、どうやらその心配はなくなっているかもしれない。

この「中東」は、おそらくシリア~北イラク辺りを指していて、トルコはクウェートの基地から米軍が撤収することなど望んでいないと思う。私がここで「中東からの撤収」と書いたのは間違いだった。

トルコには、「米国を動かしているのは大統領ではなく深層国家」と論じる識者が少なくない。大統領が変わることより、深層国家の意向がどのように変化しているのか読み取る方が重要であるという。

以下に取り上げた元CIA局員グラハム・フラー氏の論説が話題になったのも、やはり深層国家の意向を探るという側面からであるような気がする。

フラー氏は、2016年7月の「クーデター事件」への関与が取り沙汰されている人物であり、そのフラー氏がこのような論説を明らかにしたのは、少なくとも「トルコ~シリア」の地域で謀略を画策するのは既に適切ではないという意味であるかもしれない。

これとどのくらい関連があるのか解らないけれど、「米国防総省が、米中央情報局(CIA)のテロ対策任務に対する支援の大半を来年初めまでに打ち切る方針であることが11日までに分かった」と日本でも報じられている。

 これに先立って、9月には「ベネズエラニコラス・マドゥロ大統領は11日、石油施設で爆発を起こす計画を未然に防ぎ、別の製油所2ヶ所の近くで『米国のスパイ』を逮捕したと明らかにした」というニュースも伝えられていた。

どうやら、トルコでの「クーデター事件」以来、CIAの謀略は失敗続きだったようである。それ以前に、どのくらいの「成功」を収めていたのかも良く解らないが・・・。