メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

アルプス交響曲/侘しい年の瀬

《2008年12月29日付け記事を修正して再録》

リヒャルト・シュトラウスアルプス交響曲の冒頭、あの夜明けの場面を聴くと、何だか雄大な山の景色が迫ってくるように感じられる。

しかし、あれは本当に曲を聴いて山の景色が連想されたのか、それとも、もともと「アルプス交響曲」と銘打ってあるため、そう思って聴いているだけなのか、その辺がどうにも良く解らない。

高校生の頃、以下の駄文で記した友人に訊いてみたら、「その両方だろう」と笑っていた。

例えば、この曲を聴いたことがない人に、曲名を伏せた上で聴いてもらい、「どんな光景が連想されるか?」と尋ねたら、何という答えが返ってくるだろう? 

「ワイキキビーチの夕暮れ」と答える人はいないように思えるけれど、これも勝手な思い込みかもしれない。

そもそも、今の日本でこの曲を全く耳にしていない人がいるのか、それも確かめておかなければならないと思う。テレビのコマーシャルとかドキュメンタリー番組で、雄大な山の景色を背景にBGMとして良く使われているような気がするからだ。

ひょっとすると、私がこの曲を聴いて山の景色を連想するのは、そういったテレビ番組等の映像が頭の片隅に残っていて、曲を聴く度にそれが呼び起こされるからであり、初めて聴いたと思い込んでいる人にも同様の効果がもたらされる可能性がある。

ペールギュント組曲の「ソルヴェイグの歌」を聴いても、寒々とした景色が連想されるが、考えて見ると、これも子供の頃、テレビで寒々とした雪景色を背景にこの曲が流され、「寒い冬には◯◯ストーブ・・・」なんて言うコマーシャルを見ていた記憶がある。

また、ペールギュント組曲の作曲者がノルウェーの人であり、「ソルヴェイグの歌」がノルウェーを舞台に歌われることも予め知っているので、そう思って聴いているだけなのかもしれない。

しかし、「ソルヴェイグの歌」が物悲しい曲調であるのは確かだろう。物悲しさは寒々とした雰囲気を醸し出すように思える。「アルプス交響曲」で雄大な雪山は連想されても、あの夜明けの華々しさでは、一向に寒々としてこないから、ストーブのコマーシャルには使われていないようである。

なんて、また無駄なことを考えてしまった。寒い寒いと縮こまっていれば悲しい気分になるし、悲しい気分に浸っていると周囲は一層寒々として来る。寒さと悲しさの相乗効果だろうか? 今年も侘しい年の瀬を迎えている。


Richard Strauss - Eine Alpensinfonie Op.64


Grieg: Peer Gynt Suite No.2, Op.55 - 4. Solveig's Song