最近、韓国や中国を嫌う人たちと話して気がついたけれど、彼らは実際に韓国人や中国人と交流して反感を持つようになったわけじゃない。
「日韓の歴史の話とかごちゃごちゃうるさいんだよ」と言っても、それを直接韓国の人から聞いたこともないだろう。おそらく、テレビ番組でしたり顔に説明する「日本の文化人」から聞いたのである。
ひょっとすると、彼らが嫌っているのは、したり顔で偉そうに話す「日本の文化人」なのかもしれない。
BTS等の成功が日本でも大々的に報道されるのは、却って嫌韓を煽ってしまうのではないかという意見も聞かれる。
確かに、あそこまで大袈裟に報じる必要はないように感じた。しかし、25年ほど前は、逆に韓国の成功を殆ど伝えようとしない日本のメディアに私は憤ったりしていたのである。
当時、韓国のメディアは、メジャー・リーグでの野茂投手の活躍に喝采を送っていた。まるで「東洋の英雄」という扱いだった。
ところが、その数年後に、韓国の選手がメジャーで活躍するようになっても、日本のメディアはそれを殆ど伝えていなかった。私にはこの辺りがとても理不尽に思えたのだ。
一方、当時、韓国の若い人たちは、「日本人の成功」を大きく取り上げる自国のメディアに何を感じていただろう?
私が韓国に滞在していた1988年頃は、それこそ「日本のニュース」が逐一韓国で報じられていた。
しかも、そうやって日本の成功を伝える年配の知識人らは、一方で「反日」を喧伝することにも余念がなかったのである。
「反日」を説きながら、自身が「東京帝国大学」の卒業であることを自慢げに話す戦前世代の知識人もいた。
もう少し若い世代で、例えば、故・金泳三元大統領などは、在任中、あれだけ反日を主張していたのに、退陣すると早稲田大学の客員教授になって流暢な日本語を披露したりしていた。
大学生ぐらいの若い人たちが、それを苦々しい目で見ていたのは想像に難くない。
そして今、韓国の社会で指導的な立場にある50歳代の官僚や知識人は、まさにその世代じゃないかと思う。これでは、韓国で反日が強まっているのも当然であるような気がする。
もちろん、巷ではそれほどでもないらしい。相変わらず、料理を始めとする日本の文物は人気があるという。