メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

統一教会の問題/ギュレン教団尊師の死亡説

安倍元首相の暗殺事件は「気が変になった男の犯行」という見方が有力で、今のところ「政治的なテロ」を疑わせる要素は見当たらないそうである。

気が変になった男の筋違いな逆恨みで暗殺されてしまった安倍氏は実に無念だっただろう。

しかし、犯人の逆恨み発言で注目されている「統一教会」の問題が明らかになるのは悪くないと思う。

30年ぐらい前、娘さんが統一教会の信者になってしまった在日韓国人の知人から相談を持ち掛けられた友人は、私にも「どうしたら良いか?」と問い合わせてきた。

私は体操の山崎選手の例を挙げ、「いくら説得しても無理だから自宅の何処かに軟禁するよりない」と申し上げたけれど、くだんの在日の方は「娘にそんな酷いことはできない」と言い、結局、娘さんは合同結婚式で韓国へ嫁いでしまったという。相手は身体に障害のある男性だったらしい。

確かなことは解らないが、統一教会在日韓国人をターゲットに、困難な条件のある韓国人男性へ嫁がせるという選択を行っていたのではないかと言われている。日本人であれば日本の領事館に保護を求めることもできるが、在日の場合はそれも難しい。そして、財力のある親から援助を引き出そうとする。

統一教会には、霊感商法以外にも様々な問題があったようだ。そもそも、合同結婚式などというのは、どう考えても異常な事態である。

その結婚式は文鮮明夫妻の下で執り行われ、これによって結婚した信者らは、あたかも文鮮明夫妻の子供たちのようになり、尊師に対する崇拝を高めて、教団は結束を確かにする。

6年前の7月15日、トルコではあの忌まわしい「クーデター事件」が勃発した。その首謀者と見做されているギュレン教団にも、統一教会との類似性が指摘されていた。

ギュレン教団は、信者を家族から引き離して、教団の中で兄弟の関係を作り上げていたらしい。そのため、信者が外部の人と結婚しないように、男女信者らの間を取り持つ指導員までいたという。これは統一教会合同結婚式を思い起こさせるやり方ではないだろうか?

いずれも、冷戦中に、防共政策の支援を受けて勢力を拡大した。特に米国からの支援が大きかったようである。統一教会は、文鮮明師が米国滞在中に教団の基盤を築き上げたという。

ギュレン教団フェトフッラー・ギュレン師は、現在も米国へ亡命中であり、トルコ政府の再三にわたる送還要求にも拘わらず、米国は庇護を続けている。

傘下のメディアによって世論を操作しようとした所も良く似ている。また、尊師が異様に崇め奉られているカルト性も両教団に共通した特色と言えるだろう。

文鮮明師は、イエス様と会話することが出来たと語っていたそうだけれど、フェトフッラー・ギュレン師も、預言者ムハンマドと夢の中で語り合ったなどという伝聞がトルコでは報じられていた。

しかし、こういった尊師を中心に築き上げられた組織は、尊師が死亡した後、結束の維持が難しくなってしまうかもしれない。統一教会は2012年に文鮮明師が死亡すると、結束が緩み、子息による分派まで進んだようである。

現在、トルコでは「フェトフッラー・ギュレンは果たして未だ生きているのか?」について議論が巻き起こっている。最近、その動向が殆ど伝えられていないため死亡説が取り沙汰されているのである。

ギュレン教団は、2012年以降に統一教会がどうなってしまったのか見て来たので、実際、フェトフッラー・ギュレン師の死を秘匿する可能性は充分にあると思う。