メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ギュレン教団

今日もトルコの話題

例のビザ発給停止の問題を話し合うため、先週、米国国務省の一行がトルコを訪れていたそうだ。トルコの報道によれば、一行は問題の解決に向けて、以下の4つの条件を示したと言うけれど、これが事実なら、改めて米国の傲慢さに呆れてしまう。「メティン・ト…

フェトフッラー・ギュレン教団

先日、トルコ人ジャーナリストのインタビューに答えた駐アンカラ英国大使が、「7月15日クーデター事件」におけるギュレン教団の関与を認めたため、大きな話題になっていた。 事件から1年が過ぎ、ようやく欧米でも、ギュレン教団に対する認識が変化を見せ…

「7月15日クーデター事件から1年/プーチン大統領が語ったクーデター事件」

1年前の7月15日の夜、悪夢のようなクーデター事件が勃発した。しかし、イスタンブールの外れのイエニドアンの街に住んでいた私は、あの日、11時半頃に就寝したまま、事件には全く気が付かず、朝まで眠りこけていた。 朝起きてから、事件の概要を知り、…

大団円で幕を下ろした「行進」

第一野党CHPのクルチダルオウル党首らが、「公正」を掲げて、アンカラから歩き始めた「行進」は、9日、イスタンブールのマルテペ広場で多くの群衆に迎えられて幕を下ろした。途中、事故や騒乱もなく、平和な雰囲気が維持されたことを与野双方の識者らが…

弱肉強食の世界と国家の利益

トルコの情勢について、また愚にもつかない論評めいたものを書いてしまったけれど、既にトルコを離れて、ネットから得られる情報だけが頼りであり、生活に密着した“地べた目線”によるレポートなどは、もう書きようもないのである。国際政治も経済も何一つ解…

CHP党首の行進

第一野党CHPのクルチダルオウル党首らが、CHPの議員でもあるジャーナリスト“エニス・ベルベルオウル氏”の懲役刑判決等々に抗議して、「公正」のプラカードを掲げながら、アンカラからイスタンブールまで徒歩の行進を続けているニュースは、日本のメデ…

単なるロマンティズム?/ギュレン教団に対する捜査の怪

2015年頃までのトルコの独自外交を主導していたのは、当時のアフメット・ダヴトオウル首相ではなかったのかと言われている。元軍人のジャーナリストであるエロル・ミュテルジムレル氏は、その外交政策を批判して、「単なるロマンティズムで、何のリアリ…

「7月15日クーデター」の司令塔?

「7月15日クーデター事件」で司令塔の役割を果たしていたのは、アディル・オクスズというギュレン教団系の宗教学者ではないかと言われてきた。 オクスズは、事件発生の翌日、アンカラの空軍基地付近で身柄を拘束されたものの、クーデターには加わっていな…

トルコを取り巻くテロの脅威

トルコの多くの人たちが、欧米に対して激しく憤っている最も大きな要因は、PKKやギュレン教団といったテロ組織が、欧米で相変わらず庇護されている状況にあるのではないかと思う。先日、スイスのベルンでは、公然とPKK支持者らがデモを行い、「エルド…

ギュレン教団/上海協力機構・ユーラシア派

ギュレン教団は、70年~80年代、防共政策の一環として、軍部等トルコ国家の中枢から密かな支援を受け、こういった国家機構の内部へ、教団のメンバーが少しずつ浸透して行ったのではないかと言われている。「浸透というより、誤った国家戦略によって公然…

エルドアン大統領とギュレン教団

エルドアン大統領が、この数年来、進めて来たシリア対策は、結局、失敗に終わったけれど、行き詰ったと見るや、大胆な転換を図れる柔軟性は、支持派以外の識者からも評価されている。こういった柔軟性というか、現実的な対応は、「クルド和平プロセスの凍結…

暗殺事件の背景

カルロフ大使暗殺犯とギュレン教団の繋がりは、かなり明らかになってきたようだけれど、果たして犯行に教団の指示があったのかどうか、その辺りは未だ判然としていないらしい。仮に教団の指示があったとしても、その背後でCIAが関与していたとは考えにく…

2頭の象が・・・

「2頭の象が争えば、草地は踏み荒らされる。しかし、この2頭が愛し合ったら、下の草地は潰されてしまう」と語った東南アジアの政治家がいたそうだ。トルコの立場も、そういう草地に例えられるかもしれない。カルロフ大使暗殺の実行犯には、ギュレン教団系…

アンカラでロシア大使が暗殺される

昨日(12月19日)、アンカラで凶弾に倒れたロシアのカルロフ大使は、非常に謙虚な人柄で知られ、普段から護衛を伴わずに行動していたそうだ。要請があれば、トルコ政府は各国大使に護衛をつける規定になっていて、アメリカの大使はトルコの護衛官が、イ…

代理戦争

2016年12月10日、イスタンブールのベシクタシュで発生した爆破テロは、PKKの関連組織が犯行声明を出したそうである。しかし、トルコでは、これを「欧米が仕掛けている代理戦争」の一部と主張する識者も少なくない。欧米は、PKKやギュレン教団…

ギュレン教団の陰謀

今(2016年12月)、トルコで最もエキサイティングなテーマと言えば、それはやはり「ギュレン教団の陰謀」じゃないかと思う。怪しげな尊師に率いられた教団は、40年に亘り、軍や司法を始めとする国家機構にメンバーを入り込ませて、最終的には国家を…

ギュレン教団の恐ろしさ

今年(2016年)は、1月12日のスルタンアフメット自爆テロに始まり、6月28日のアタテュルク空港襲撃に至るまで、4度に亘って、凶悪なテロ事件がイスタンブールで発生した。しかし、ギュレン教団の企てによる「7月15日のクーデター」が制圧され…

「大統領制」と「死刑復活」の議論

現在、トルコのメディアは、「大統領制」と「死刑復活」の議論で盛り上がっているけれど、リサーチ会社の世論調査によれば、強化された大統領にエルドアン氏を望む人が60%へ達したのに対し、死刑復活への支持は40%に過ぎなかったらしい。 また、「死刑…

トランプ大統領のアメリカ

イスラムフォビアについて語るメルヴェ・カヴァックチュ PAMER Başkanı Doç. Dr. Merve Kavakçı İslamofobiyi Habertürk Manşet'te değerlendirdi. 昨年の12月に、“Haberturk”で放送された上記の番組で、ウスキュダル大学のメルヴェ・カヴァックチュ氏は、…

アメリカの大統領選挙

トルコには、ニュース・時事専門のチャンネルがいくつもあり、中には“YouTube”からリアルタイムで視聴できるところもある。アメリカの大統領選挙に関しては、各チャンネルが特番を組んで、スタジオに外交問題等の専門家を招き、昨日(11月8日)、投票前の…

MHPとAKP

MHPは、1960年軍事クーデターの首謀者の一人だったアルパスラン・テュルケシュ元陸軍大佐によって、1969年に成立している。 シンボルとなっている伝説上のトルコ民族の始祖“灰色の狼”は、モンゴルの“蒼き狼”の伝説を思わせるが、“灰色の狼”の故地…

本番は11月?

11月になり、7月15日のクーデター事件から3ヶ月半が過ぎた。非常事態宣言中とはいえ、毎日、当たり前な日常が繰り返され、街の雰囲気も平穏そのものである。 しかし、「第2のクーデターが11月に起こる」といった風説が随分前から流されていて、政治…

サイト・ファイクの帽子

2014年の5月、ブルガズ島のサイト・ファイク・アバスヤヌク博物館を初めて訪れた。トルコ人の御夫婦が、日本から来たお客さんを案内するのに同行したのである。いずれも50代と思しき御夫婦は、教養水準も生活水準も高い政教分離主義者だった。この博…

ギュレン教団の方たちとの思い出

トルコでも、イラクのIS支配地域モースルの奪回作戦が、大きな話題になっているのは言うまでもない。エルドアン大統領は、「我々も作戦に関与する」と相変わらず強気な発言を繰り返しているが、何処まで本気なのだろう? 国内向けのポーズであるような気も…

恐ろしい宗教

イスラム教徒・ムスリムと言えば、何だか、まるで価値体系の異なる宗教的な世界で生きている人々みたいな雰囲気で語られたりしているけれど、トルコでイスラム教徒の人たちと接している限り、これが実際の様相を伝えているとは、とても考えられない。もちろ…

枯木の側で生木も燃える?

ギュレン教団の摘発・排除は、教団の秘匿性のため、なかなか難航しているうえ、杜撰なやり方で様々な問題が現れているそうだ。 密告にもとづいて、いきなり職を解いたり、教団系の資本が1%入っていると言って、企業の活動を停止させたりして、無関係な人た…

ギュレン教団の秘密主義?

ギュレン教団に関しては、離脱した元幹部クラスの告発・懺悔というのもメディアを賑わせている。しかし、なんとなく胡散臭い気がする。離脱に至った経緯も、余り明らかになっていない場合が多い。他にも、色んな所から色んな話が出て来ている。事実らしいネ…

ギュレン教団の摘発

8月31日、辞任したエフカン・アラ氏に代わり、スレイマン・ソイル氏が内務相に就任した。一説によると、これは、“辞任”も含めて、エルドアン大統領の指示に基づく人事だったらしい。 内務省は、ギュレン教団の排除を進めるうえで、中心的な役割を担ってい…

各国におけるギュレン教団の活動

(8月26日) 今日(8月26日)のヒュリエト紙のコラムでイスメット・ベルカン氏は、ギュレン教団の海外における活動を封じ込めるため、より迅速に対策を講じなければならないと論じている。 例えば、非常に親トルコ的な友好国と言える北イラク・クルド…

ギュレン教団のアメリカと日本における不正疑惑

バイデン副大統領のトルコ訪問では、フェトフッラー・ギュレン師の送還も議題に上ったものの、バイデン副大統領は「クーデターへの関与が立証されれば法的な処置を取る」という従来通りの表明を繰り返しただけだった。トルコの一般的な論調では、ギュレン教…