メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

暗殺事件の背景

カルロフ大使暗殺犯とギュレン教団の繋がりは、かなり明らかになってきたようだけれど、果たして犯行に教団の指示があったのかどうか、その辺りは未だ判然としていないらしい。
仮に教団の指示があったとしても、その背後でCIAが関与していたとは考えにくいそうである。なぜなら、この事件における最大の受益者は他ならぬロシアであり、ロシアはトルコを制してシリア問題を有利に進めることができるからだという。
とはいえ、日本のメディアの報道を見ると、当初は、「トルコとロシアの関係が危機に・・」といった論調も多く、昨年11月の露機撃墜後のような展開が想定されていた可能性も、ひょっとしたらあるかもしれない。
暗殺犯には、ギュレン教団ばかりでなく、他のイスラム組織に接近を試みていた形跡もあるらしい。いずれにせよ、カルロフ大使の動向を正確に把握して、準備を進めていたと見られるため、少なくとも単独犯であるとは考えられていない。
「現場となった展示会場に、指示を出した共謀者が来ていたのではないか?」と論じる人もいるそうだ。犯人は、大使以外の会場にいた人々へ一発も撃っておらず、何らかの合図を受けてから銃撃を開始したように見えると言うのである。
また、犯人に逃走を図る意志が全く見られなかったのは、『大丈夫だ』と言い含められていたからではないかと推論されている。
一方、別の報道では、犯人が銃撃後、「生きてここを出るつもりはない!」と叫んだことが伝えられており、死を覚悟していたという見方も成り立つ。
犯人は、現場へ急行した警察官と撃ち合いになって、足に被弾した後も反撃の姿勢を見せたため、射殺されたと報じられていた。『大丈夫だ』と思っていたら、最初から銃を捨て、投降したような気がする。
もしも、犯人がギュレン教団のメンバーであり、自爆犯のように死ぬつもりで指示に従っていたとしたら、これは非常に恐ろしい事態じゃないだろうか? 教団は、メンバーの警察官や軍人を使って、同様のテロを再び仕掛けてくるかもしれない。
なにしろ、アメリカに滞留している尊師と共に、教団の司令部は依然として機能しているそうである。そのため、トルコ政府は、証拠もない「アメリカの関与云々」などは問わずに、とにかく尊師を送還して欲しいと要請している。
アメリカの機関等が、ギュレン教団の陰謀には、全く関与して来なかったとしても、冷戦の時代、こういった怪しげな教団やマフィアを使って陰謀を企んでいたのは、既に歴史的な事実として認められているようだ。
昔は日本でも、黒幕・フィクサーなどと呼ばれる人物が、やくざを使って政治の舞台で暗躍したりしていた。あれを根絶させるためにも暴対法は必要だったのではないかと思う。
トランプ時期大統領に近い、アメリカの退役将軍が、「オバマ政権は後方でコントロールしようとして失敗した。前面から出て行くべきだ」みたいなことを語ったらしい。裏で何かやられるよりは、こちらの方がまだましだろう。
特に、怪しげな信仰に基づいた組織は、制御不能に陥って、アメリカ本国にも害を及ぼすかもしれない。これはアルカイダで実証されているような気もする。