メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコを取り巻くテロの脅威

(3月27日)

トルコの多くの人たちが、欧米に対して激しく憤っている最も大きな要因は、PKKやギュレン教団といったテロ組織が、欧米で相変わらず庇護されている状況にあるのではないかと思う。

先日、スイスのベルンでは、公然とPKK支持者らがデモを行い、「エルドアンを殺せ!」と記された横断幕が掲げられていたそうである。

しかし、トルコの国内では、レイラ・ザナ氏が、「PKKは20ヵ国に利用されてきた」と語って非難したように、PKKはクルドの人々から既に見限られているだろう。

2015年の夏以降、トルコの南東部でPKKが繰り広げてきたのは、まさしく蛮行以外の何ものでもなかった。

トルコで民衆の支持を失ったPKKは、拠点をシリアへ移し、もともと緊密な関係にあったPYD・YPGと一体化して、戦闘を継続させるつもりらしい。

このPYDの代表であるサリフ・ムスリム氏も、シリア生まれのクルド人とはいえ、イスタンブール工科大学の卒業で、トルコのメディアからインタビューされると、普通にトルコ語を話している。

トルコの大学で育てた人材が、結局、トルコへ災いをもたらす組織の長になってしまったのだから、なんとも遣り切れない話だが、欧米・ロシアから支援されているPKK~PYDの脅威は、まだ当面続きそうである。

そして、これに勝るとも劣らない脅威が、ギュレン教団であるかもしれない。ギュレン師が庇護下に置かれているアメリカはもちろん、ドイツなどでも教団は相当な勢力を維持しているという。

そのため、エルドアン大統領は、アメリカやドイツに対し、ギュレン師らの送還を求めて、以前にも増して強硬な態度を見せている。

これには、野党支持者の中からも、後押しする声が出ているけれど、多少不安を感じて、腰が引けているような雰囲気もある。

おそらく、エルドアン大統領にしたって、リスクは充分認識しているだろう。拍手喝采している民衆の多くも、欧米との間に、未だ大きな国力の差があることぐらい解っているはずだ。

皆、ドイツ等に親戚が住んでいたりして、その豊かさと力を実感しているのではないか。時として沸き起こる、あの民族主義的な熱狂の裏には、ある種の恐怖が潜んでいるように感じられてならない。

日本と同様、それは覇を唱えんとする勢いというより、防衛本能に近いと思う。