メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

クルド問題の行方

90年代に、「分割の脅威」を叫び、「クルド人の要求を受け入れてはならない」と論じた人たちが恐れていたのは、「当初の要求を受け入れると、後からハードルを上げられて次々に要求された挙句、最終的には分離独立を許してしまうことになる」というものだった。

AKPとエルドアン大統領を熱烈に支持しているクルド人の友人も、和平の兆しが見えていた2013年の段階で、「BDP(現HDP)は何も変わっていない。私たちは近くにいるから良く解っている。上層部の連中は、今でも分離独立主義者だよ。皆、騙されているんだ」と言って、エルドアン首相(当時)らの融和的な姿勢を批判していた。

 2013年の10月、私立学校でクルド語による教育を可能にする法改正が成し遂げられた時点で、クルド側に残された要求があるとすれば、憲法を改正して、公立学校でもクルド語による教育を可能にし、「憲法」に、「クルド民族」という言葉を織り込むことだと言われていた。

そのため、2015年6月の国政選挙で、HDPが必要な議席を獲得した場合、「HDPはAKPに協力して、憲法の改正を試みるのではないか」という説も唱えられていたのである。

しかし、現状を見る限り、「皆、騙されているんだ」と警告していた友人の考えが正しかったと言わざるを得ない。今や残念なことに、憲法改正でAKPに協力する姿勢を見せているのは、トルコ民族主義のMHPであり、彼らがクルド問題で何らかの譲歩を見せるとは、全く考えられないだろう。

クルド語による教育を始めていた私立学校は、この2ヶ月ぐらいの間に殆ど閉鎖されてしまったそうだが、PKKのテロが収束しなければ、再開は難しいと思う。

「地域住民の支持を失ったPKKには、戦闘員も5千人ほどしか残っていない」などと言われていた時期もあったけれど、現在、2万人以上のPYD戦闘員が、シリア国境の向こうで、虎視眈々とトルコ南東部の動向を窺っているのではないかと言われている。

 

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