メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ギュレン教団の恐ろしさ

 今年(2016年)は、1月12日のスルタンアフメット自爆テロに始まり、6月28日のアタテュルク空港襲撃に至るまで、4度に亘って、凶悪なテロ事件がイスタンブールで発生した。
しかし、ギュレン教団の企てによる「7月15日のクーデター」が制圧された後、少なくともイスタンブールではテロが発生していない。
これは、非常事態宣言が発令され、厳しい警戒を怠っていない成果であると考えられているけれど、一方で、それ以前の4回のテロにギュレン教団の関与を疑う声も聞かれる。
つまり、「テロの頻発により、社会の公安秩序が崩壊した」という大義名分を「軍事クーデター」に与える計画だったのではないかと推測しているのだ。
なんだか良くある“陰謀説”のようにも思えるが、その説によれば、ギュレン教団は、ISやPKKとも緊密な関係を築いていたことになる。
また、取り調べの過程で、ギュレン教団の驚くべき秘匿性も明らかになっているという。例えば、マルマリスで大統領襲撃に失敗して、山中へ逃げ込んだ部隊のリーダーは、一息ついてから部隊の面々に、「この中に、教団のメンバーでない者はいるか?」と訊いたらしい。
部隊の面々は、いくつか異なる系統で、ギュレン教団秘密指令を受けて行動に移ったため、全員が各々を見知っていたわけではないというのである。
その他にも、長年にわたり、軍役生活を共にしながら、双方とも、自分たちが同じギュレン教団のメンバーだとは気が付いていなかった将校らの証言であるとか、その秘密主義を浮き彫りにする様々な話が伝えられている。
ギュレン教団は、長い年月をかけて、軍の内部へメンバーを浸透させている事実が発覚するのを恐れ、どの部署に何というメンバーが配属されているのかは、ごく限られた幹部しか知らない秘密になっていたらしい。
なにしろ、40年近い浸透戦略により、軍のあらゆる部署に教団のメンバーがいて、順調に昇進を重ねていたので、2013年12月以来、教団排除の動きが始まっていなければ、おそらく2023年頃に、軍は教団の制圧下に入っていたのではないかと分析されている。
また、教団のメンバーが、謀殺にまで関与したり、文化的事業だけに留まっていたりするのは、どういう指令を受けていたかの違いだけで、本人の気質とは何の関係もないという。
この説が正しければ、私が身近に知り合っていたメンバーの中にも、謀殺等に関与した人がいなかったとは言い切れなくなるかもしれない。

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