メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

民族自殺?

北朝鮮の建国者である金日成が、1945年の9月、ソビエト軍と共に帰国するまでの前半生は、あまり明らかになっていないらしい。
そのため、かつて韓国政府は、北朝鮮ソビエトの傀儡政権と見做して、「北傀」と呼んだりしていた。
しかし、韓国で初代大統領となった李承晩も、1905年に渡米して以来、日韓併合後の1911年から1年半の僅かな期間を除けば、その半生の殆どをアメリカで送っていたようである。
だから、北朝鮮側も、韓国を「米帝の傀儡」と呼んで非難して来た。
同じ民族が、お互いを「傀儡」と罵り合って対峙しなければならなかったのは、悲劇であるとしか言いようがない。
日本も、戦後、アメリカが、まったく新しい国に作り変えようと試みていたら、大変なことになっていただろう。
中東では、欧米の介入によって作られたイラク・シリアという国が、これまた欧米の介入によって破壊され、地獄絵図のような状態になっている。
崩壊したオスマン帝国の地に誕生した国々の中で、まともな国家と言えるのは、トルコとイスラエル以外にあるだろうか?
トルコは自力で欧米の介入を退けて建国した。イスラエルも、欧米の援助を受けたというより、その執念で無理やり援助させたような気がする。
いずれにせよ、自分たちの力ではなく、他国の援助に依存して成り立った国が、健全な社会を築こうとしても、困難を極めてしまうらしい。
欧米が、念願の「クルディスタン」という国を拵えたところで、これもまた、なかなか巧く行かないのではないかと思う。
欧米の後押しする「民族自決」は、それこそ「民族自殺」になってしまうかもしれない。

merhaba-ajansi.hatenablog.com