メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

黄昏の日本?:少子化と移民の受け入れ

コロナの3年間で、日本の出生率はさらに低下してしまったという。マスクで顔が見えないのも若者たちの恋愛感情を妨げ、未婚が増える要因の一つになっているらしい。

確かに、マスクで顔が見えない相手には恋心も湧かないだろう。

日本で少子化の問題が騒がれ始めてから、既に20年以上過ぎていると思うが、これを阻止するための有効な対策は取られて来たのか? 

何だかそれほどの危機感さえ意識されて来なかったような気もする。

この歳(62歳)になるまで結婚はおろか恋愛も成し遂げることが出来なかった「戦犯」の1人である私が言っても始まらないが、現在の少子化はそれこそ「亡国」に至る道であるかもしれない。

少子化への対策としてロシアがソビエト時代の「母親英雄」なる制度を復活させたことが話題になっているけれど、果たしてどのくらいの効果が期待できるのだろう? 

トルコは、ジェンダー平等といった要素も含まれている「イスタンブール条約」からの撤退を表明した。

しかし、「女性に対する暴力」といった問題への取り組みは続けられるはずであり、撤退は少子化への影響を懸念したためではないかと思う。

男女の性差も無視した平等論には、少子化を加速させる恐れが指摘されているそうだ。

もちろん、撤退に「イスラム主義」などとの関係は考えられないが、以下の「世界の合計特殊出生率 国別ランキング」を見ると、上位を占めるアフリカの各国に続いて、パキスタンやエジプトのようなイスラム教の国々は高い出生率を維持している。

1992年にイズミルのエーゲ大学で知り合ったムスリムのナイジェリア人留学生は「イスラムの4人妻」も肯定しながら、「我々が欧米に圧力を加えられる唯一の手段は人口をどんどん増やすことである」と力説していた。そのナイジェリアの出生率は「5.25」で上位7傑に入っている。

意外にサウジアラビアを始めとする湾岸諸国の出生率が低い水準に留まっているけれど、これは経済的な豊かさと共に女性の高学歴化も進んだためであるかもしれない。

トルコはイスラム教の国々の中で、おそらく最も低い「2.04」という数字である。

西欧の各国はいずれも「2」を下回っている。フランスが「1.83」と高いのは、イスラム教徒の移民が多いためではないだろうか?

西欧並みの先進国であるイスラエルの高い出生率「2.90」には驚かされる。

これについて、以前、「イスラエルパレスチナ」という駄文に「イスラエルでは、女性も兵役に就いて国防に努めるが、出生率は高く、中東の中でも抜きん出ている。女性たちは『祖国のために子供を産む』と言うらしい。この国が地域の覇権を握る強者となったのは当然のことだろう。」などと記したが、イスラエルの事情に詳しい方から「出生率が高いのはユダヤ教厳格派に限られていて、一般的なイスラエル市民はこれを問題視している」というご指摘を頂いた。

どうやら、高い出生率には強い宗教の力も関わっているようだ。南米諸国の高い出生率にも強いカトリック信仰の影響があるかもしれない。(本家のイタリアは日本よりも低いけれど・・・)

いずれにせよ、今後、日本の出生率が飛躍的に高まるなんてことは全く期待できないだろう。

そうなると、若い人口を維持するためには移民を受け入れるより他にないのではないか? 

そのためにも、就学生の制度を改善しながら、日本の社会に適応できる移民を少しずつ増やして行くのが最善策であるように思える。

就学生の受け入れが進んでいた福岡では、ネパールやスリランカベトナム等々から来た就学生のアルバイトがいないコンビニなどなかったような印象さえ感じられた。

皆、達者な日本語で業務をこなしながら地域社会に溶け込んでいた。地元の人たちもそれに慣れて、なんの違和感もなく彼らと接していた。

トルコのように元々多民族でやって来た国は、現在、シリア難民の増加で少々もめているものの、移民の受け入れにそれほど抵抗を感じないだろう。

多民族帝国だった中国も少子高齢化が進めば、移民の受け入れを躊躇わないはずだ。

しかし、単一民族国家などと言われて来た日本も、多民族でやって行ける下地は既に充分備わっているのではないかと思う。

*写真は本文とあまり関係がないけれど、一昨日撮った黄昏の山陽電鉄踏切。山陽電鉄の沿線は黄昏過ぎていてちょっと寂しい。

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