メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコの地方選挙~国の存亡

今月の末、トルコでは地方選挙が行われる。昨年の10月、MHPは、この選挙でAKPに協力しない旨を明らかにしたけれど、いくらも経たない内にこれを撤回して、イスタンブールアンカラ等の大都市では、候補を立てずにAKPを支援すると約束した。
何故かと言えば、この選挙も、トルコにとっては「国の存亡」に関わる問題であるからだという。
トルコには、「問題が“祖国”であるならば、その他は瑣末な事柄にすぎない」という言葉がある。国の存亡に関わる問題では、瑣末な意見の相違は棚上げして協力し合わなければならないというアタテュルクの言葉らしい。
トルコでは、2017年7月の「クーデター事件」以来、国の存亡に関わる問題が未だ解決されていないと言うのである。いずれにせよ、MHPの協力により、今回の選挙でも、主要な都市におけるAKPの勝利は確実と言って良いだろう。
しかし、最近の予測し難い国際情勢を見ると、国の存亡が問題となっているのはトルコに限らないような気がする。
ベネズエラも正しく存亡の問題に直面している。米中の対立も今後どうなるのか見通しがつかないようである。米国が石油封鎖を目論んでいるという説の真否は解らないが、肝腎のサウジアラビアが中国へ接近しているのでは、どうにもならないに違いない。果たしてどうなるだろう?
トルコでも日本でも、アメリカの衰退を指摘する識者は多い。2017年のクーデター事件を「アメリカが企図したにも拘わらず、初めて失敗に終わったクーデター」と見做すトルコの識者たちは、ベネズエラでも失敗を繰り返してアメリカの衰退は明らかになると主張している。
とはいえ、アメリカが介入して巧く行かなかった例は、以前から少なくなかったような気もする。ベトナムの敗戦は言うまでもなく、キューバやイランでもアメリカは失敗しなかっただろうか?
アメリカは、トルコのような国を見下していたため、甘い見通しで介入して失敗したのではないかと思う。中国やロシアを相手に、まさかあれほど杜撰なことはしないだろう。
アメリカ、イギリスというアングロサクソンの国は、他国に対して無慈悲な介入を躊躇わないが、自国も厳しく鍛えてきたような気がする。法律はかなり厳格で、子供たちも厳しくしつけてきた。
富裕層に生まれたトランプ大統領も子供の頃、新聞配達のアルバイトをさせられたそうである。イギリスの王族は軍役について前線へ行くことも辞さない。
この点、中国はどうだろうか? 中国の人たちは、日本の子供たちが冬になっても半ズボンで登校する姿に慄き、「残酷」と評したらしい。伝え聞くところによれば、「一人っ子政策」の影響なのか、良い家柄でも子供をかなり甘やかす傾向が見られるという。
子供と言えば、アメリカを追う立場にある中国の出生率は、アメリカよりも低い。これはもちろん「一人っ子政策」の影響に違いないが、女性の強い中国で、これから出生率が上昇するとも思えない。

 凄いのはイスラエル出生率で、先進国としては例外的に「3」を上回っている。イスラエルの女性たちは、男子と共に兵役に就くほど強いうえ、民族の繁栄のために出産・育児の苦労も厭わないそうだ。こんな国が強いのは当然だろう。