メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

金曜日が公休日?

卒業のシーズンを迎え、配送センターで働く就学生らの間でも、日本語学校を卒業して他県の専門学校に入学するため、福岡を去らなければならなくなった例が多く見られる。
私の良き話し相手になってくれたパキスタンの友人たちも皆、群馬県へ引っ越すことになった。
就学生の中には、バイトの掛け持ちで疲れている所為か、無断欠勤する者が少なくないけれど、パキスタン人の彼らは殆ど休まずに来てくれたので、送迎車の運転手としても非常に助かっていた。彼らの出勤が予定されていない金曜日は、なかなか面子が揃わなくて困ることもあった。
金曜日が彼らの定休日になっていたのは、イスラムの金曜礼拝があるためだ。本国のパキスタンでも金曜日は午後から休みになるらしい。しかし、週の公休日は一応日曜日になっているそうで、彼らはこれが金曜日に変更されるよう望んでいた。
彼らによれば、イムランカーン新首相は、この金曜公休の実現に積極的であるという。これを聞いて私はちょっとがっかりした。パキスタンが今の国際社会の中で発展を遂げようとするならば、金曜公休どころか、この日に午後から休んでしまうのも止めた方が良いのではないかと思う。
政教分離のトルコでは、もちろん日曜が公休日で、金曜日も昼の礼拝が終われば、職場に戻って業務を続けている。そもそも金曜礼拝は20分ほどで終わってしまう。
保守的な人々の間からも、金曜公休を望む声は余り聞かれない。保守的な友人たちが金曜公休の議論を私に説こうとしたことも全くなかった。
トルコのイスラム化云々が叫ばれて久しいものの、実現したのは新しいモスクの建造や女性のスカーフ着用解禁といった装飾的な事柄ばかりである。
季節的な要因もあるかもしれないが、ラマダンにおける断食の実践率も低下の傾向を見せているし、犠牲祭における生贄の屠殺も都市部では減少している。
都市部では、指定された施設以外での屠殺が制限されたこともあるけれど、この制限はイスラム的と言われたAKP政権のもとで年々厳しくなってきた。しかし、支持者の間から、これに対する不満の声も、スカーフ解禁を求めた時のように高まらなかった。
それどころか、ラマダン祭や犠牲祭に営業する商店が増えて、かつての厳かな祝祭の雰囲気も失われてしまったくらいである。
結局、産業化が進んで競争が激しくなり、人々は経済活動に一層の時間と労力を割かなければならなくなったということかもしれない。
30年前、イスラム化に先鞭をつけたとされる故オザル大統領は、競争社会の実現をトルコに求めていた。これはいよいよ達成されつつあるように思えるが、産業化・都市化に伴って、少子化の傾向が顕著になるなど、所謂“先進諸国”と同じような問題がトルコにも現れている。先日は、日本のメディアがトルコの学校で「いじめ」による事件があったと伝えていた。
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