メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ギュレン教団のアメリカと日本における不正疑惑

バイデン副大統領のトルコ訪問では、フェトフッラー・ギュレン師の送還も議題に上ったものの、バイデン副大統領は「クーデターへの関与が立証されれば法的な処置を取る」という従来通りの表明を繰り返しただけだった。
トルコの一般的な論調では、ギュレン教団によるクーデターへの関与が疑われているのではなく、クーデターを企てたのは紛れもないギュレン教団であり、アメリカの機関・団体がこの策謀へ関与していたかどうかが疑われているわけだから、両者の溝はそう簡単に埋まりそうもない。
しかし、ヒュリエト紙のムラット・イエトゥキン氏は、アメリカの機関・団体の一部あるいは個人が関与していた疑いに言及しながら、どのレベルの人物がどのくらいの規模で関与していたのかが問題であり、何らかの関与が明らかになって、イラン・コントラ事件のノース中佐のようなスケープ・ゴートが仕立て上げられた末に、解決が図られても驚いてはならないと論じている。
トルコ政府としては、ギュレン師の送還を要求しているだけで、アメリカ側の関与まで追及するつもりは全くなさそうに思えるが、果たしてどうなるだろうか?
多くの識者も、送還の実現さえ難しい状況にあることを認めたうえで、仮に関与があったとしても、それが明らかにされる可能性はないだろうと見ているようだ。
一方、トルコ政府は、7カ月ほど前からアメリカの法律事務所に依頼して、ギュレン教団アメリカにおける不正行為を調査させていたという。
この法律事務所の代表であるロバート・アムステルダム氏が明らかにしたところによれば、ギュレン教団は、アメリカで公的な資金援助を受けて数多のチャーター・スクールを設立し、ここから得た利益を不正な手段により、傘下の企業に回していたそうである。
私はこれを読んで、随分前に、ギュレン教団が日本で運営している学校でも、似たような疑惑が囁かれていた件を思い出した。そして、ネットで検索して見つけたのが、以下の2008年12月の東京新聞の記事である。

 ギュレン教団は、渋谷区から無償提供された学校の施設を利用して、相当な利益を上げていたらしい。
さて、この記事にも、小池現都知事が教団主催の“断食明け食事会”に招かれていたと書かれているけれど、ネットでも小池氏とギュレン教団の関係を取り沙汰するネタがいくつか出回っている。
しかし、この先、ギュレン教団が日本で事件になったとしても、小池都知事まで塁が及ぶような事態にはまず至らないだろう。また、そんな事態を期待してはならないと思う。
それより、この記事で私が気になったのは、「・・『自衛隊イスラム派遣』推進派への“食い込み”が見られる。・・」というくだりだ。ギュレン教団は、トルコでも特に軍と警察へ浸透しようとしていたし、アメリカでも空軍基地内に学校を設立した事実が明らかになっている。
まさか、日本の自衛隊防衛省へ浸透を図るという恐ろしい策謀も企んでいたのだろうか? それにしても、このギュレンという人物は、宗教家と言いながら、よっぽど軍や警察といった武力装置が好きなのかもしれない。