メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ギュレン教団の空軍・戦闘機への執着?

(8月4日)

クーデター事件の全容は、加担した将校らの告白などにより、少しずつ明らかになってきたようだが、どうやらギュレン教団とは関係のない将校の中にも、「クーデター」と知りながら、躊躇うことなく指示に従って行動した者が少なくなかったらしい。

そのため、昨日(8月3日)のサバ―紙でビュレント・カフラマン氏は、このような「クーデターを是とする風土」の醸成に寄与してきた“士官高校”を廃止すべきじゃないかと論じていた。

カフラマン氏によると、これはオスマン帝国時代に、貧しい農家の優秀な子弟を徴集して育てた“デヴシルメ制度”に由来しているらしい。

しかし、戦前は日本にも“陸軍幼年学校”があり、これはプロイセンの例に倣って作られたとされている。トルコの“士官高校”の範もこちらにあった可能性はないだろうか?

そもそもデヴシルメ制度に言及するのであれば、“士官高校”というより、ギュレン教団こそが正しくこれを手本にしていたような気がする。

教団は、子供の頃から養成した“忠実なメンバー”を軍に送り込み、彼らの昇進を待って着々と軍の内部に見えない組織を作り上げていたという。

特に、空軍のパイロットにメンバーが多かったため、排除後、その欠員を埋める困難に当局は頭を抱えているそうだ。

何年か前に、ペンシルバニア州の教団本部を訪れた記者のリポートを読んだところ、本部の玄関だか何処かに、大きなトルコ空軍戦闘機の写真が掲げられていて意外だったと記されていた。

まさか、その写真に象徴的な意味が隠されていたとは、当時、取材した記者も気がついていなかったのだろう。それはリポートの中で重要な扱いを受けていなかったが、私も意外に思った所為か、妙にそこだけ良く覚えている。

ギュレン教団は、アメリカ空軍への“浸潤”も目論んでいると言われ、先日のトルコ各紙の報道によれば、ラスベガスの空軍基地内に新設された「Coral Academy of Science Las Vegas」という学校は教団の運営によるものらしい。

かつて、アメリカが防共のために支援した宗教集団や機関の中には、後々アメリカにとっても厄介な存在になってしまったものが少なくないけれど、果たしてギュレン教団はどうなるのだろうか?