メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ギュレン教団の忠実なメンバー

今日(7月22日)のカラル紙のエティエン・マフチュプヤン氏のコラムによれば、将軍クラスの軍人の20%が、既に逮捕されているそうだ。
クーデターに抵抗したのは、ひとにぎりの英雄的な軍人たちに過ぎず、残りの80%の将軍らは、ただ事態を傍観していたらしい。
なぜなら、彼らが最も恐れていたのは、軍が分裂して戦闘状態に陥ることであり、もしもクーデターに成功の兆しが見えていたら、速やかにクーデター側についてしまったのではないかという。クーデターを寸前のところで食い止めたのは、まさしく国民だったのだ。
このため、マフチュプヤン氏は、民主化をさらに進めて、軍と政治の力のバランスを是正しなければならないと論じている。
トルコの国防省は、軍人たちの福利厚生等の面を見ているだけで、参謀本部に対して何の権限も有していないと言われ、文民統制が疑問視されてきた。
確かに、将軍の20%がクーデターに加担していたとすれば、これは「ごく少数の軍人が・・」とは言えない事態である。
また、将軍たちの年齢からして、彼らが、子供の頃からギュレン師のもとで育てられた“教団の忠実なメンバー”であったとは考え難い。
その多くは、ラディカルな政教分離主義に固執するあまり、エルドアン政権を激しく嫌っていたか、アメリカの「後ろ盾」によりクーデターが成功すると思った“昇進に野心的な軍人”だったのではないだろうか?
しかし、そういった将軍たちを説得して、クーデターのお膳立てをしたのは、やはり“教団の忠実なメンバー”である佐官クラスの将校ではなかったかと言われている。
ギュレン師は、自分に忠実なメンバーを育てるため、貧しい家庭の優秀な子弟に先行投資して良い教育を与え、軍、警察、司法、教育等の各機構に送り込んでいたらしい。
9年ほど前に聞いた話で、当時は、たちの悪い冗談としか思えなかったが、ギュレン師による優秀な子供の選抜法は一風変わっていて、まず子供たちをハマム(トルコ風蒸し風呂)に連れて行くそうである。
そこで、子供たちの体つき、障害の有無等々を入念に調べたというけれど、私は『宗教者や教育者を育てるのに体つき見てどうするんだ?』と、これを一笑に付していた。
ところが、今考えて見ると、士官学校などへ送り込むつもりなら、当然、骨格の良さは選考の基準となるに違いない。事実であれば、長年にわたって用意周到な準備を重ねて来た執念の恐ろしさに、思わず鳥肌が立ってしまう。
おそらく、こうして子供の頃から洗脳され続けてきた“忠実なメンバー”は、アメリカの「後ろ盾」なんてなくても、簡単に師を裏切ったりしないはずだ。軍や司法等の核心的なところには、そういう“忠実なメンバー”を送り込んでいたのだろう。

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