メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ギュレン教団の特色/軍の文民統制

トルコ政府は、軍や司法、教育等々の機構から、ギュレン教団系の排除を進めているが、その後の空白に、他の特定の教団やグループが秘かに勢力を浸透させてしまう恐れも囁かれている。
かつての抑圧的な政教分離主義により、あらゆる教団的な活動が規制されてきた所為で、ギュレン教団に限らず、どの教団にも秘密主義の傾向が見られるそうだ。
そのため、多くの識者が、今後はそういった教団の活動を透明化していかなければならないと主張している。
おそらく、これを機会に、宗教教団の在り方ばかりでなく、宗教教育等に関して様々な議論が展開されていくことになると思う。

ところで、ギュレン教団だが、この教団の特色としては、信徒を家族から引き離して、教団の中で兄弟の関係を作り上げていた点も指摘されている。
ギュレン教団には、信徒が外部の人と結婚しないように、男女信徒らの間を取り持つ指導員までいたらしい。なんだか統一教会合同結婚式を思い出してしまった。
いずれも、冷戦中に、防共政策の支援を受けて勢力を拡大し、尊師が異様に崇め奉られたところも良く似ている。
統一教会文鮮明師は、イエス様と会話することが出来たと語っていたそうだけれど、フェトフッラー・ギュレン師も、預言者ムハンマドと夢の中で語り合ったなどという伝聞がメディアで報じられていた。
フェトフッラー・ギュレン師は、クーデターが成功すれば、ホメイニ師のように凱旋帰国して、カリフの座に就くつもりだったのではないかと言われている。真偽のほどは解らないものの、確かに、あの尊大な態度からは、権威に対する異様な執着が感じられた。
しかし、サイードの家系を誇り、正統なシーア派の学問を修めてアーヤトッラーの称号を得ていたホメイニ師と、貧しい農村の導師の子として生まれ、大学の神学部等で正式な教育も受けていないギュレン師とでは、全く比較にもならないような気がする。
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「軍の文民統制」も同様に議論されているが、エティエン・マフチュプヤン氏は8月5日のコラムで、次のように書いていた。
「トルコの政治文化と民主主義の未成熟を考慮した場合、如何なる文民機構も、軍内部の無形のネットを監査しきれないことは明らかだ」
これは非常に手厳しいが、角を矯めて牛を殺してはならないから、やはり慎重に進めるべきなのだろう。
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