メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

エルドアン大統領の謝罪

(8月5日)

一昨日(8月3日)、エルドアン大統領は、自分たちがもっと早くギュレン教団の実態を見極めていなければならなかったとして、神と国民から許しを請うた。

これに対して、「責任を追及される前に、先手を打って謝ったんだろう」とか、「野党側にも反省を求める政治的な駆け引きだ」などと冷ややかに見る識者もいれば、「あれだけ信心深い人が神の赦しを請うているのだから意味は大きい」と肯定的に評価する識者もいた。

確かに、まったく政治的な背景のない発言とも思えないが、多くの国民が犠牲になった事件への率直な気持ちは、もちろん含まれていたと信じたい。

ギュレン教団は、70年代より防共政策の中で、国内やアメリカから支援を受けていたと言われている。80年代、オザル政権の時代には、軍や官僚機構へかなりのメンバーが浸潤し始めていたらしい。

故オザル大統領は、フェトフッラー・ギュレン師について、「平気で嘘をつく。あの男の野望はトルコに収まりきらない世界的な規模である」といった評価を下していたそうだが、自身も教団の勢力拡大には、一役買ってしまっていたのではないだろうか。

そして、教団の勢力がAKP政権の下で急成長したのは間違いないけれど、野党のCHPも、2014年以降は教団に接近していたから、AKPばかりを責める訳にもいかない。

やはりエルドアン大統領の言うように、まず反省して、これからどうするのか考えて行かなければならないような気がする。

幸い、日曜日(8月7日)にイスタンブールで予定されている「民主主義と犠牲者のための大集会」への出席を断っていたCHPのクルチダルオウル党首も、エルドアン大統領の再三の要請に応えて出席を承諾したという。これで日曜日の大集会には、与野3党が一堂に会することになる。

また、フェトフッラー・ギュレン師の送還を求めて、アメリカへ渡っていた議員団に関する報道では、トルコ国内の「アメリ陰謀論」とは全く異なる次元で、議員団がアメリカの当局者等々に、ギュレン教団が企てたクーデターの詳細と教団の危険性を説明した経過が伝えられている。

証拠のない陰謀論はもちろん、自分たちも教団を支援していたのだから、アメリカの支援を咎めるわけにも行かない。

「トルコでは大変なことになってしまいました。皆さんも気をつけて下さい」とやんわり理解を求めているのではないだろうか?

教団の実態が明らかになるにつれ、トルコと同様、アメリカでも驚きの声が上がってくるかもしれない。そのために、様々な機関や団体へ出向いて、説明を繰り返す方針のようである。