メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

プーチン大統領の訪土

来週、10月10日に、ロシアのプーチン大統領がトルコを訪れるそうだ。昨年11月の露機撃墜事件から未だ1年も経っていない。例えば6ヶ月前に、この急な展開を予想した識者はいただろうか?
そもそも、あの露機撃墜の背景は、今もって謎に包まれたままである。
7月15日のクーデター事件後、「撃墜を実行した空軍のパイロットは、ギュレン教団のメンバーであり、クーデターにも加担していた」といった情報がメディアを騒がせていたものの、その後、何かが明らかになったわけでもない。
いずれにせよ、トルコ政府が明確な意志を持って撃墜させたのではなかったようである。偶発的な事件だったのか、あるいは、実際、何らかの陰謀が仕組まれていたのかもしれない。とはいえ、それが立証されることはないと思う。

アメリカがギュレン教団を使って、トルコとロシアの交戦を画策した」などと言う識者もいるけれど、様々な陰謀説と同様、話のネタぐらいにしかならないだろう。
撃墜から暫くの間は、冷え込んでいた欧米との関係修復を期待する声が高かった。私も「トルコの西方回帰」を歓迎していた。冷戦の時代に育った所為か、どうも西側・欧米中心の世界観から抜け出せない。現時点でも、トルコとロシアの接近には不安を感じている。
経済、軍事、科学技術、全ての面で、ロシアはアメリカに遠く及ばない。「勝てば官軍、負ければ賊軍」の例に倣えば、ロシアへ近づくのは危険な賭けになってしまいそうである。
しかし、12月には、プーチン大統領の日本訪問も予定されている。いよいよ、世界は多極化へ向かっているということなのか?
アメリカの屋台骨も相当揺らいで来ているらしい。大統領候補のお爺さんお婆さんなどは、その斜陽を象徴しているような気もする。

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