メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ギュレン教団

紳士的な警察官

先日話題にした「ギュレン教団による士官高校の不正入試」(8月18日付け)、教団メンバーの受験生は、数学のテストを事前に入手することで、30の設問に満点解答していたらしい。しかし、不正といっても、これはある程度数学の実力がなければ通用しなか…

欧米は中東の民主化を望んでいたのだろうか?

トルコのメディアでは、アメリカがギュレン教団を背後で操っていたという“陰謀論”が相変わらず飛び交っている。エルドアン大統領まで、それを遠回しに仄めかして煽るものだから、ちょっとやそっとじゃ収まりそうもない。もちろん、こういったアメリカと敵対…

士官高校の入試不正

今日(8月17日)のヒュリエト紙のコラムでイスメット・ベルカン氏は、閉鎖された“士官高校”が如何なる状態に陥っていたのか、入学試験結果の統計をもとに論じている。それによると、2004年以降、数学の30の設問を満点で解答した受験生が急激に増え…

トルコに軍人という階級はあったのだろうか?

(8月13日) トルコでは、共和国の建国以来、長い間、軍部が実質的に国家を支配していると考えられて来た。 この支配者の意に沿わない政党が選挙で勢力を伸ばした場合、軍部と共に絶大な力を持っていた司法の介入により、あっけなく解党されてしまう。解…

エルドアン大統領がロシアで手に入れたもの?

昨日(8月9日)、エルドアン大統領は、ロシアのサンクトペテルブルクを訪れ、プーチン大統領と会談した。日本でも報道されているように、トルコとロシアは、今後、段階的に関係を修復していくことになる。しかし、今のところ、昨年11月のロシア機撃墜事…

討論番組の議論

(8月9日) 昨日(8月8日)、ハベルテュルク放送の時事討論番組で、左派ジャーナリストのギュルカン・ハジュル氏が論じたところによれば、クーデターに加担して拘束された後、ギュレン教団との関係を否定している将校らの陳述は、非常に疑わしいそうであ…

ギュレン教団の特色/軍の文民統制

トルコ政府は、軍や司法、教育等々の機構から、ギュレン教団系の排除を進めているが、その後の空白に、他の特定の教団やグループが秘かに勢力を浸透させてしまう恐れも囁かれている。かつての抑圧的な政教分離主義により、あらゆる教団的な活動が規制されて…

ウルデレ爆撃事件~フラント・ディンク暗殺事件

クーデター事件以来、ギュレン教団に関する様々な疑惑が浮上してきたため、この10年ぐらいの間の出来事は、異なる角度から見直さなければならないと言われている。例えば、昨年11月のロシア機撃墜を企図したのが、紛れもなく教団だったとしたら、エルド…

エルドアン大統領の謝罪

(8月5日) 一昨日(8月3日)、エルドアン大統領は、自分たちがもっと早くギュレン教団の実態を見極めていなければならなかったとして、神と国民から許しを請うた。 これに対して、「責任を追及される前に、先手を打って謝ったんだろう」とか、「野党側…

ギュレン教団の空軍・戦闘機への執着?

(8月4日) クーデター事件の全容は、加担した将校らの告白などにより、少しずつ明らかになってきたようだが、どうやらギュレン教団とは関係のない将校の中にも、「クーデター」と知りながら、躊躇うことなく指示に従って行動した者が少なくなかったらしい…

尊師の魅力?

(7月31日) 一昨日(7月29日)、ギュレン教団との関連が疑われているジャーナリストのナズル・ウルジャク氏(女性・71歳)が、滞在先のボドルムで拘束された。 ウルジャク氏は、7月15日にクーデター事件が起こるまで、ギュレン教団の実態を理解…

クーデター反対で連日連夜の大集会

(7月27日) 先週、サバ―紙のコラムで歴史学者のシュクル・ハニオウル氏は、トルコのクーデターの歴史をオスマン帝国に遡って説き明かしていた。オスマン帝国の時代にもクーデターは何度も起きていたそうだ。 トルコ共和国の21世紀になっても、2002…

トルコの英雄的な国民

(7月26日) 一昨日(7月24日)、CHPがタクシム広場で開催した「クーデター反対集会」について、AKP政権寄りのジャーナリストは、会衆からAKPを罵倒する声が上がっていたとか、クルチダルオウル党首がギュレン教団を名指しで糾弾していなかっ…

非常事態のエルドアン大統領

非常事態宣言下のトルコで、ギュレン教団系の摘発はさらに拡大しているが、無関係な人まで拘束されてしまう恐れであるとか、何故、今まで摘発が進んでいなかったのかという疑念の声も上がっている。 これに対して、エティエン・マフチュプヤン氏は、昨日(7…

ギュレン教団の忠実なメンバー

今日(7月22日)のカラル紙のエティエン・マフチュプヤン氏のコラムによれば、将軍クラスの軍人の20%が、既に逮捕されているそうだ。クーデターに抵抗したのは、ひとにぎりの英雄的な軍人たちに過ぎず、残りの80%の将軍らは、ただ事態を傍観してい…

非常事態宣言下のトルコ

(7月21日:17時45分)よく理解できていなかったけれど、非常事態宣言は既に今日(7月21日)の未明2時から有効となっていて、今日の国会で承認されるのは「その継続」なのだそうである。期間は3ヶ月と発表された。しかし、ボズダー法相は、1ヶ…

非常事態宣言

(7月21日:12時40分) 昨日、エルドアン大統領は「非常事態宣言」を明らかにした。といっても国会の承認を得なければならないため、「宣言を推奨する」といった曖昧な表現だったが、国会の承認が得られるのは確実と言われている。 既に、ギュレン教…

ギュレン教団/大きな愚かさの中の矮小な知性

(7月20日) 2001年から2014年の5月まで、ギュレン教団系の旧ザマン紙でコラムを担当し、教団の人たちと身近に接していたジャーナリストのエティエン・マフチュプヤン氏が、昨日のカラル紙のコラムに、教団の人たちの印象について記していた。 …

クーデターを企てた軍人はギュレン教団のメンバーだけではなかった

(7月19日) クーデターの企てに関して、昨日(7月18日)の“ハベルテュルク”のニュース番組では、イスマイル・ハック・ペキン退役陸軍中将がキャスターの質問に答えていた。 ペキン元中将は、2007年より、参謀本部情報室の長官として任務に就き、…

稚拙なクーデター/ギュレン教団

トルコのAKP政権寄りメディアの報道によれば、クーデターを企てた一派は、かなり前から入念な計画を練っていたらしい。ところが、軍内部のギュレン教団系への捜査が進んだため、計画を前倒しにして、不充分な準備のまま、クーデターの決行に踏み切ってし…

クーデターの企てとロシア機撃墜?

トルコ政府の発表によれば、クーデターを企てたのは、軍の内部に巣食っていたフェトフッラー・ギュレン教団系の一派であるという。その為、ペンシルバニア州に居住しているフェトフッラー・ギュレン師の送還を、米国政府に強く求めていくそうだ。こういった“…

アタテュルク空港爆破テロはISの犯行か?

アタテュルク空港爆破テロは、ISの関連組織による犯行とほぼ断定されたようだけれど、例によって、ISからは犯行声明が出ていない。そのため、トルコの反エルドアン・反AKP系メディアは、ISとAKP政権の間にまるで協力関係があったかのように論じ…

ギュル大統領とフィダン長官

先日(8日)、「アブドゥラー・ギュル大統領(当時)が、MIT(国家情報局)のハーカン・フィダン長官に、検察へ出頭して聴取を受けるように勧めた」という話を、オラル・チャルシュラル氏の記事からお伝えしたけれど、昨日(11日)のコラムで、チャル…

ギュレン教団の排除

フェトフッラー・ギュレン教団のメンバーを国家機構内から排除するプロセスも、いよいよ大詰めを迎えたようだが、ある識者はこれを「90年代の体制が、イスラム主義勢力を排除しようとした動きと変わらないじゃないか」と批判していた。 当時、排除の対象に…

フェトフッラー・ギュレン系のメディア・グループが政府の管理下に・・・

ザマン新聞等が政府の管理下に置かれたこの事件は、日本でも報道されているようだ。なにしろフェトフッラー・ギュレン教団は、既にトルコで“テロ組織”の扱いだから、これも以下にお伝えした「無理なデトックス(解毒)」の一環であるらしい。ジュムフュリエ…

歴史の闇

トルコでは、90年代、国家憲兵(ジャンダルマ)によって作られた「JITEM」という組織が、PKKの掃討を掲げて、PKKとの関連を疑われたクルド人らを、非合法的な処置で、次々に暗殺していたのではないかと半ば公然と囁かれている。 当時は、軍を始めと…

デトックス(解毒)と大手術

ウィキペディアの記述によれば、人間の“便”の大部分を構成しているのは、「水分(60%)」と「腸壁細胞の死骸(15%~20%)」「細菌類の死骸(10%~15%)」などで、食べ物の残滓は5%程度に過ぎないらしい。 体内に蓄積されていた毒素も含まれているというか…

羊に入り込まれた男

2013年の12月17日、AKP政権閣僚の親族らが不正の疑いで拘束される。エルドアン首相(当時)は、この事件を、フェトフッラー・ギュレン教団のメンバーである検察官や警察幹部によって企てられた「政権打倒を目的とするクーデター」だと主張して、…

選挙の結果

昨日の便りを書き終えた21時(昨晩)頃の段階でも、AKP圧勝の勢いが伝えられていたけれど、開票が進む中、その後も大きな変動は起こらず、最終的にAKPの得票率は約49%に達した。これは、2011年の約50%(49.9%)に次ぐ数値である。選…

東京ジャーミー(モスク)2015年8月

一時帰国中、代々木上原にある”東京ジャーミー”にも出かけてみた。今回はちょっと目的があって、つまりイエニドアンの御近所に配る何か簡単な土産物でも見つからないかと思って出かけたのである。出かける前は、東京ジャーミーの名前が記されたキーホルダー…