メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

単なるロマンティズム?/ギュレン教団に対する捜査の怪

2015年頃までのトルコの独自外交を主導していたのは、当時のアフメット・ダヴトオウル首相ではなかったのかと言われている。
元軍人のジャーナリストであるエロル・ミュテルジムレル氏は、その外交政策を批判して、「単なるロマンティズムで、何のリアリティーもなかった」とこきおろしていた。
ミュテルジムレル氏も、シュクル・ハニオウル氏と同様、欧米との同盟維持を論じていたようだが、確かに現実的に考えるならば、トルコにとって、これ以外の選択肢はなさそうである。
一方、ミュテルジムレル氏が、ダヴトオウル首相の政治姿勢を「単なるロマンティズム・・・」と批判しながら、「イスラム主義者」などと言わなかったところにも、最近のトルコのリアリティーが感じられる。
ミュテルジムレル氏は、エルドアン大統領に対しても、「単純な人なので、周囲からの影響を受けやすい」と辛辣な批判を加えていたけれど、その現実的な姿勢には、一定の評価を与えていたように思う。
現実的なエルドアン大統領は、やはり欧米との同盟を維持しながら、柔軟な外交を展開して行くのではないだろうか?
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秘匿性の高いギュレン教団に対する捜査は、かなり難航しているらしい。政権におもねったり、便乗して自分たちの利得を図ったりする者が多く、ギュレン教団とは何の関係もないジャーナリストまで逮捕されたりしているという。
「7月15日クーデター」の直前に、エルドアン大統領が宿泊しているホテルを明らかにして報道しただけの容疑で、ソズジュ紙の記者が逮捕されてしまったのは、その一例だろう。
この話、ネタとしては面白いから、私も以下のように取り上げたけれど、クーデターの首謀者らが、記事を読んで大統領の居所を確認したというのは、良く考えれば、いくらなんでも怪しすぎる。

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