メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ギュレン教団の陰謀

今(2016年12月)、トルコで最もエキサイティングなテーマと言えば、それはやはり「ギュレン教団の陰謀」じゃないかと思う。
怪しげな尊師に率いられた教団は、40年に亘り、軍や司法を始めとする国家機構にメンバーを入り込ませて、最終的には国家を乗っ取ってしまう計画だったらしい。
メディア、ジャーナリズム、教育等々のあらゆる分野にも触手を伸ばし、その社会的な影響力の増大を図って来たばかりか、いざとなれば、謀殺やテロも躊躇わなかったという。
結局は、各機構に入り込んだメンバーが排除され始めたため、計画を前倒しにして、「クーデター」という強硬策に出たものの、敢え無く失敗してしまう・・・。映画や小説でも、なかなかこれほどの陰謀は描き切れないような気がする。
そのため、当初は、「まさしく作られたストーリーじゃないのか?」と政府側を疑う「逆陰謀論」まで出ていたけれど、ギュレン教団の実態が明らかになるにつれ、少なくともトルコ国内では、その陰謀を否定する人は、もう限られた少数派に過ぎない。
しかし、どういうわけか、日本では、こういった「ギュレン教団の陰謀」が殆ど報道されていないようである。ギュレン教団は、まだ日本で潤沢な資金を確保しながら、勢力を維持しているそうだから、その影響もあるだろうか?
とはいえ、彼らにまさかそれほどの力があるとは考えられないから、トルコで囁かれ続けている「もう一つの陰謀論」が、何だか満更でもないように思えてきてしまう。
つまり、「ギュレン教団の陰謀」には、一部のアメリカの機関が関与していたのではないかという説である。
これを裏付けるかのように、アメリカの次期大統領に選出されたトランプ氏が、「もうクーデター等で他国の政府を転覆させたりするのは止めよう」などと語ったらしく、これがトルコでは大きな話題になっている。
中には、「誰が大統領になろうと、アメリカの外交政策を動かすのは、アメリカの国益である」と断りながら、「だが、来年1月20日の時点で、未だトランプ氏が存命であり、さらに大統領の座へ就くことができれば、何らかの変化は期待できるかもしれない」なんて恐ろしい話をする識者もいる。

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