メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ギュレン教団/上海協力機構・ユーラシア派

ギュレン教団は、70年~80年代、防共政策の一環として、軍部等トルコ国家の中枢から密かな支援を受け、こういった国家機構の内部へ、教団のメンバーが少しずつ浸透して行ったのではないかと言われている。
「浸透というより、誤った国家戦略によって公然と受け入れられてしまった」と断じて、その裏にはCIAなどアメリカの機関の圧力があったと主張する識者もいる。(元軍人のジャーナリストであるエロル・ミュテルジムレル氏)
冷戦が終わると、トルコ国家はギュレン教団を危険視し始めたが、教団は「穏健なイスラム」を標榜して、さらに欧米の支援を取り付けてしまう。
1999年に、フェトフッラー・ギュレン師はアメリカへ渡り、滞留を続けているペンシルバニア州の邸宅が、教団の司令部的な存在になっているらしい。
そのため、「7月15日クーデター」を始めとする教団の策謀に、CIAが関与していたのではないかという“陰謀説”も、全くの絵空事とは思えないが、そんなことを言い出したら、話が余計にややこしくなるので、あまり取り沙汰されないように努めている空気も感じられる。
最近、またしても上海協力機構への加盟を唱える声が高まっていて、“CIA陰謀説”はこれを勢いづかせてしまいそうで恐ろしい。
上海協力機構への加盟を唱えているのは、ユーラシア派などと呼ばれている人たちで、大統領府のアドバイザーの中にも少なくないという。
かつては、軍部を中心に、やはりユーラシア派と名付けられたグループがあり、ロシアや中国との連帯を謳い、EU加盟を推進していたAKP政権に強く反対していたと言われているけれど、現在のユーラシア派は名前と傾向が同じだけで中身は違うらしい。
元軍人のジャーナリストであるエロル・ミュテルジムレル氏は、「・・・こういった連中が、エルドアンに要らないことを吹き込んでいる。エルドアンは単純な人なので直ぐに影響されてしまう」なんて話していた。
エルドアン派の識者も、「エルドアン大統領は、独裁者呼ばわりされているが、あれほど人の話を良く聞く政治家も珍しい。聞きすぎるくらいだ」と評していたから、実際、そんなこともあるのだろうか。
EUには誤魔化され、HDPにも裏切られ、ギュレン教団から騙されてきた。見かけによらず、お人好しな面があるのかもしれない。