メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ギュレン教団の摘発

8月31日、辞任したエフカン・アラ氏に代わり、スレイマン・ソイル氏が内務相に就任した。一説によると、これは、“辞任”も含めて、エルドアン大統領の指示に基づく人事だったらしい。

内務省は、ギュレン教団の排除を進めるうえで、中心的な役割を担っているため、この人事にも様々な憶測が飛び交っている。

ある識者によれば、ギュレン教団の浸透に最もさらされているのが他ならぬ内務省であり、内務官僚出身のエフカン・アラ氏では、かつての同僚を摘発するに当たって、困難が生じる可能性もあった。

新任のスレイマン・ソイル氏は、民間企業の経営者から政界入りした人物であり、内務省との縁もなければ、AKPへの加入も2012年9月と遅く、いわば新参の外様であることから、AKP内部の摘発にも大なたを振るえるだろう、というのである。

ギュレン教団の摘発に関して、私の身近なところでは、黒海地方ユンエの友人ネヴザットさんの弟で、モスクのイマーム(導師)を務めていたオクタイさんが、捜査の対象にされて、一時的に職を解かれているそうだ。↓

2014年6月24日(火)

その後の経過を一々訊くのも変だから、どうなったのか分らないけれど、捜査の対象にされた時点で、「免職は避けられそうもない」というのがネヴザットさんの推測だった。

2年前、長女の結婚式にユンエを訪れた際も、オクタイさんは、フェトフッラー・ギュレン師の信奉者であるために、親族中でごうごうたる非難を浴びていたくらいだから、ネヴザットさんは、「まあ、しょうがないだろう。ギュレン教団は徹底的に取り締まらなければならない」と冷静に話していた。

オクタイさんは、おそらく末端のメンバーに過ぎず、大して重要な役割も任されていなかったに違いない。多分、免職で済むのではないかと思う。また、彼らのところは、絆が強い大家族なので、路頭に迷うようなことは決してないはずだ。

昨日、テレビの討論番組で、今はギュレン教団のでっちあげとされている「エルゲネコン・クーデター計画事件」に連座して逮捕され、4年間の刑務所生活を経験したという退役大佐が語っていた。

自分は“でっちあげ裁判”で有罪にされたものの、周囲の人たちが理解を示してくれたお陰で気分的には助かった。しかし、現在、誤った捜査により、ギュレン教団の烙印を一度押されてしまえば、世間からひどい仕打ちを受ける恐れもある。捜査は慎重に進めてもらいたい、と退役大佐は懸念を明らかにしていた。

オクタイさんの場合、そういう心配はないが、ギュレン教団への風当たりは日増しに強くなっているので、中には家族から見放されてしまう人が出て来るかもしれない。

免職程度であっても、いい加減な処置による“冤罪”は、絶対に避けなければならないようである。番組では、「教団のメンバーが、無関係な人を告発する“罠”にも注意すべきだ」という指摘もあった。(いずれも既に起こってしまっている疑いが濃厚だが・・)

なにしろ、30年以上、教団による“浸透戦略”を放置してきたため、9万人ぐらいの摘発で済めば御の字らしい。いったいどうなることだろうか?