メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

代理戦争

2016年12月10日、イスタンブールベシクタシュで発生した爆破テロは、PKKの関連組織が犯行声明を出したそうである。
しかし、トルコでは、これを「欧米が仕掛けている代理戦争」の一部と主張する識者も少なくない。欧米は、PKKやギュレン教団といったテロ組織を介して、トルコへ圧力を加えているのだという。
トルコ政府の発表によれば、アメリカが「対IS」と称して、シリアのPYDへ提供している兵器の相当数は、トルコのPKKにも流入しており、これはPKKから押収した兵器の製造番号等によって明らかにされているらしい。
また、昨日(2016年12月12日)のポスタ紙のコラムで、ネディム・シェネル氏は、戦闘機を保有していないISに対する兵器として、スティンガーミサイルがPYDに提供されているのは、不条理であると指摘していた。
いずれにせよ、トルコで30年以上、テロを続けているPKKには、決して尽きることのない武器弾薬が補充されているようだ。ベシクタシュの爆破テロでは、300~400キロの火薬が使われたのではないかと言われている。
いつだったか、司馬遼太郎ベトナム戦争の悲劇について語った一文を読んだ覚えがある。
通常、戦争は、一方の武器弾薬が尽きた時点で戦闘続行不可能となり、終結を迎えるはずなのに、ベトナムでは、それが背後から供給され続けたため、戦争を止めることも出来なかった・・・。というように語られていたと記憶している。
おそらく、PKKはこれと殆ど変わらない状況に置かれているのだろう。一方、トルコは自力で戦闘を続ける態勢を維持していかなければならない。

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