米国の大統領選挙、未だに結果も明らかにならないまま混乱が続いているようだ。いったいどうなってしまったのだろう?
トルコの識者たちも、「我々の民主主義にケチをつけて説教していた国がなんという有様だ」といったように呆れ返りながら論評している。
トランプ大統領の再選を期待していたエルドアン政権寄りメディアも同様に呆れ果てて、再選云々は半ば諦めているような雰囲気である。
もっとも、コロナ騒ぎの影響で楽勝ムードが消え失せた辺りから、「再選されるに越したことはないが」ぐらいの期待値になっていたかもしれない。これには、トルコの国内事情も作用しているような気がする。
1年ほど前、バイデン氏が「ニューズウィーク」の紙面で「クーデターによって倒せなかったエルドアンを選挙で倒さなければならない」として、トルコの野党勢力への支援を表明したため、エルドアン政権は「内政干渉だ」と猛反発していたものの、今や野党勢力は、経済の不調にも拘わらず、米国が梃入れしたところで『どうにもならないのではないか?』と思わせるような体たらくである。
また、エルドアン政権がトランプ大統領に最も期待していたのは、なんと言っても『7月15日クーデター事件の首謀者』フェトフッラー・ギュレン師の送還だったのではないかと思うが、そのギュレン師は老衰でいつ亡くなってもおかしくない状態らしい。
そのため、組織の中では既に跡目を巡って内輪もめが始まっているという。これでは、米国にいつ見限られても不思議ではないけれど、米国も放って置けば近いうちに自然死する人物をわざわざトルコへ送還することはないだろうと見られているようだ。
米国はサダム・フセインを裁判で吊るしあげてから死刑にしたが、ビン・ラディンは問答無用で謀殺している。生きて何か喋られたら困るからだという説も出回っていた。ギュレン師に関しても同様だろう。ギュレン師は1999年以来、米国の庇護下に置かれているのである。
いずれにせよ、どちらが大統領に選出されようと、エルドアン大統領はその現実に合わせて柔軟な姿勢を見せるのではないかと思う。