メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

エルドアン

アメリカの大統領選挙

トルコには、ニュース・時事専門のチャンネルがいくつもあり、中には“YouTube”からリアルタイムで視聴できるところもある。アメリカの大統領選挙に関しては、各チャンネルが特番を組んで、スタジオに外交問題等の専門家を招き、昨日(11月8日)、投票前の…

MHPとAKP

MHPは、1960年軍事クーデターの首謀者の一人だったアルパスラン・テュルケシュ元陸軍大佐によって、1969年に成立している。 シンボルとなっている伝説上のトルコ民族の始祖“灰色の狼”は、モンゴルの“蒼き狼”の伝説を思わせるが、“灰色の狼”の故地…

死刑

昨日(2016年10月31日)、テレビの討論番組で、法律学の専門家が説明していた。法を改正しても、その法律を過去に遡及して適用することはできないから、死刑制度を復活させたところで、7月15日クーデター加担者の処刑は不可能であるという。私は…

サイト・ファイクの帽子

2014年の5月、ブルガズ島のサイト・ファイク・アバスヤヌク博物館を初めて訪れた。トルコ人の御夫婦が、日本から来たお客さんを案内するのに同行したのである。いずれも50代と思しき御夫婦は、教養水準も生活水準も高い政教分離主義者だった。この博…

「ローザンヌ条約は勝利だったのか?」発言の背景?

昨年の11月、アタテュルクの命日を前にして、近所の家電修理屋さんは、次のように語っていた。「今、アタテュルク主義とか言ってる連中には、ミッリがない(祖国愛がない)。でも、アタテュルクにはミッリがあった。そうじゃなかったら救国戦争に勝てるは…

ローザンヌ条約は勝利だったのか?

10月中に終わる予定だった非常事態宣言は、どうやらもう3ヶ月延長されるようだ。宣言発表の当初から、「3ヶ月では無理」という声が高かったくらいで、それほどの騒ぎにはなっていないものの、「1か月半で済ませる」などと明らかにしていた政府の見通し…

庶民派政治家の面目躍如

トルコでは、首相や大統領が、一般市民の家を訪問して交流をアピールするのは、以前から見られたけれど、エルドアン大統領ぐらい頻繁に行う例もなかったような気がする。反対派は、『人気取りばかりに精出しやがって』と言うかもしれないが、以下の動画など…

私の友人家族のもとを訪れたエルドアン大統領

11年前、マルマライの工事現場で知り合ったオカンとは、この5~6年の間、フェイスブックだけで繋がっているような状態になってしまったが、昨日、そのフェイスブックを見ていたら、オカンとエルドアン大統領が並んで立っている写真がシェアされていた。 …

人間は必ず死ぬ/犠牲祭

7月15日のクーデター事件後、多分、西欧の放送局によるインタビューだった。エルドアン大統領は、「アタテュルク空港への着陸を強行した際、死の危険を考えなかったのか?」という問いに対して、「人間は必ず死ぬんですよ。突然、交通事故で死ぬかもしれ…

エルドアン大統領のカリスマ的な人気

エルドアン大統領ほど毀誉褒貶の激しい人物も珍しい。カリスマ的な人気がある一方、蛇蝎のように嫌う人たちもいる。どちらかといえば、エルドアン大統領をそれほど好んでいない左派ジャーナリストのメフメット・テズカン氏は、出演したニュース番組で、「ク…

トルコ軍の越境/クーデター事件がもたらした協調・和解ムード

(8月25日) 昨日(8月24日)の未明、トルコ軍はシリアとの国境を越えて、自由シリア軍と共に、ISの勢力下にあったジャラブルスへ進撃した。 ISは、YPGを中心とするクルド勢力によって、要衝地のメムビチを追われ、さらにトルコ国境に近いジャ…

死刑と民主主義

(8月11日) 連日連夜、各地で繰り広げられていた「クーデター反対集会」も、昨晩(8月10日)を最後にようやく閉幕した。 当初は、日曜日の「民主主義と犠牲者のための大集会」で大団円を迎えるはずだったが、どういうわけか、突然3日間延期された。 …

エルドアン大統領の謝罪

(8月5日) 一昨日(8月3日)、エルドアン大統領は、自分たちがもっと早くギュレン教団の実態を見極めていなければならなかったとして、神と国民から許しを請うた。 これに対して、「責任を追及される前に、先手を打って謝ったんだろう」とか、「野党側…

非常事態のエルドアン大統領

非常事態宣言下のトルコで、ギュレン教団系の摘発はさらに拡大しているが、無関係な人まで拘束されてしまう恐れであるとか、何故、今まで摘発が進んでいなかったのかという疑念の声も上がっている。 これに対して、エティエン・マフチュプヤン氏は、昨日(7…

トルコの軍と政権

先日お伝えしたように、6年前のマービ・マルマラ号事件で、当時のエルドアン首相は、どうやら事前にマービ・マルマラ号の航行を承認していたわけではなかったらしい。事件後、「私が許可した」と発言した背景には、様々な政治的思惑が絡んでいたように思え…

アタテュルク空港爆破テロはISの犯行か?

アタテュルク空港爆破テロは、ISの関連組織による犯行とほぼ断定されたようだけれど、例によって、ISからは犯行声明が出ていない。そのため、トルコの反エルドアン・反AKP系メディアは、ISとAKP政権の間にまるで協力関係があったかのように論じ…

モハメド・アリの追悼式

昨日(6月10日)、アリの故郷ルイビルで追悼式が行われ、出席したクリントン元大統領は弔辞を読み上げたそうだ。トルコのエルドアン大統領も、この追悼式でスピーチするかもしれないと噂されていたけれど、エルドアン大統領は、前日営まれたイスラムの葬…

モハメド・アリ逝く

昨日、エルドアン大統領は、“トルコ輸出業者会議”の総会でスピーチした際、最後に「アリの訃報」を伝えて、2分以上にわたり功績や思い出について語っていた。「・・・若い頃、私たちは夜中に白黒テレビで彼を観ていた。とてもエキサイトしながらその姿を追…

エルドアン大統領の次女が婚約

4年ぐらい前だったか、次のような趣旨の記事を読んだ。「AKP政権になって何が変わったのだろう? 以前、軍を中心とする体制は、イスラムの信仰を制限していたけれど、無信仰も認めていなかった。国民は体制の望むレベルで、イスラムを信仰しなければなら…

ギュレン教団の排除

フェトフッラー・ギュレン教団のメンバーを国家機構内から排除するプロセスも、いよいよ大詰めを迎えたようだが、ある識者はこれを「90年代の体制が、イスラム主義勢力を排除しようとした動きと変わらないじゃないか」と批判していた。 当時、排除の対象に…

ターバンからフェス帽へ

オスマン帝国の末期を舞台にした、レシャット・ヌーリ・ギュンテキンの小説「イエシル・ゲジェ」には、ターバンを頭に巻いた保守派とフェス帽を被った改革派の対立が描かれている。 フェス帽は、共和国革命の後に禁止されて、イスラム的な保守派の象徴のよう…

大統領府の会合

先日の大統領府の会合に招かれていたハリル・ベルクタイ氏が、昨日(1月24日)、定期的に出演している“Serbestiyet”という番組で、やはり会合の模様などを語っていた。 ベルクタイ氏は、大統領府を訪れるのも、エルドアン大統領と会うのも初めてだったそ…

クルド問題の解決/レイラ・ザナ氏

一昨日、アンカラの大統領府へ18名の学者やジャーナリストが招かれ、クルド問題等について意見を求められたそうである。今日のラディカル紙のコラムで、オラル・チャルシュラル氏は、自身も招かれたこの会合の様子を伝えている。それによると、エルドアン…

ブルーモスク前の群衆/大平首相の思い出

天気予報によれば、イスタンブールは、月曜日から雪が降り、その後も暫く悪天候が続くらしい。それで昨日は、その前に買い物等々を全て済ませて置こうと、またシルケジからイエニカブ、メジディエキョイと方々を回って来た。そして、昨日も意図的にスルタン…

エルドアンVS 橋下

トルコの閣僚リストには、「既婚で子供が何人」といった情報も大概記されていた。しかし、これにもいくつか欠落があったので、他のネット記事も見て調べたところ、どうやら、未婚で子供がいないのは、ファトマ・ギュルデメト・サル環境都市計画相(女性/4…

大統領の次男ビラル・エルドアン

ジエリスタンの店主が、アルカイーダとかISのメンバーと見做され、「エルドアンの息子がメンバーと接触」などと伝えられた事件。 昨日、CHPのスポークスマンであるハールク・コチ副党首は、良く調べずに誤った発言をしたと認めて謝罪したそうだ。でも、…

ジエリスタンのテロリスト?

北イラク料理屋などもあるアクサライの界隈には、ケバブの類をメインにした庶民的な店が軒を並べている。レバー(肝臓)串焼きの「ジエリスタン」はその中でもひと際目立っていた。ジエルがレバー(肝臓)の意で、ジエリスタンは「レバーの国」といった造語…

目白御殿

東京都内の運送屋で働いていた1981年の末、1~2週間ぐらい某百貨店に出向して、お歳暮の配達を請け負ったことがある。 このお歳暮は、非常に高価な“活け蟹”で、差出人はそれなりに余裕のある人たちだったに違いない。配達先も金持ちそうなお宅が多かっ…

エルドアン大統領の自邸

エルドアン大統領については、トルコ国内の反対派のメディアが、あることないこと書き立てているものだから、それが日本へ伝わり、一部には凄まじい独裁者のイメージが出来上がってしまっているかもしれない。アンカラの大統領府も、まるでエルドアン氏個人…

メティネル氏とエルドアン大統領

「かつて私たちはタリバンのようだった」と述べたというメフメット・メティネル氏は、南東部アドゥヤマン県出身のクルド人で、和平プロセスにおいても重要な役割を果たしてきたようだ。もちろん、イスラム主義者として、HDPのような左派クルド人勢力に対…