メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

クルド問題の解決/レイラ・ザナ氏

一昨日、アンカラの大統領府へ18名の学者やジャーナリストが招かれ、クルド問題等について意見を求められたそうである。
今日のラディカル紙のコラムで、オラル・チャルシュラル氏は、自身も招かれたこの会合の様子を伝えている。
それによると、エルドアン大統領は、会合の始めと終わりに、それぞれ短いスピーチを行っただけで、3時間に亘って、ひたすら識者らの話を聞き、メモを取っていたらしい。
チャルシュラル氏は、「HDPを無視してはならない・・・5百万以上の票を得た政党である」「地域におけるトルコとクルド人らの長期にわたる戦略的な共同を目指すべきだ・・・」等々の所信を述べた後で、エルドアン大統領に、「レイラ・ザナを招くことは出来ないのか?」と訊いたという。
これに対してエルドアン大統領は、「申請は受けている。検討して見ようか?」と答えたそうだが、この質疑応答は非常に興味深い。
レイラ・ザナ氏(女性)は、HDPの議員であり、これが実現すれば、長らく途絶えていた政権とHDPの対話が部分的とはいえ、再開することになるかもしれない。
そして、昨日、エルドアン大統領は、「この件について検討が進められており、自分としては会談実現の方に傾いている」と明らかにした。
おそらく、軍部等の関係所管とも協議した上で決定されることになるのだろう。なんとか会談が実現するように祈りたい。
しかし、レイラ・ザナ氏には、2012年の7月、当時のエルドアン首相と会談を強行して、クルド政治運動の中で多少浮いてしまった経緯がある。

 現在も、HDP党内におけるザナ氏の影響力は余り期待できないらしい。とはいえ、クルド人民衆の中で、その人気と影響力はオジャラン氏に次ぐと言われている。
そもそも、ザナ氏のように、母語であるクルド語を話し、長年にわたってクルド問題解決のために艱難辛苦を嘗なめてきた人物が片隅に追いやられ、クルド語も話さず、何処から出て来たのかも定かでないフィゲン・ユクセクダー氏のようなアジテーターが中央に居座っているHDPという政党は、いったいどのように形成されたのだろう?
クルド人民衆や地域に密着した政治運動ではなく、外部の支援によって成り立っているのではないか、という説は満更誇張でもないような気がする。

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