メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

クルディスタン自治区

フェースブックで、トルコ人の友達が、北イラククルディスタン自治区の首都アルビールのレポートを写真付きで伝えていた。この数日、他にトルコの各紙でも、コラムニストが何人かアルビールに取材して記事を書いていた。 

アルビールは大変な活況らしい。トルコの企業が続々とやって来て、今や小さなイスタンブールのようになっているそうだ。トルコに一度も行ったことがない地元の人たちも、トルコの連続ドラマを観ながら、たちまちトルコ語を覚えてしまい、トルコ語だけ知っていれば、殆ど不自由なく旅行が楽しめる状態らしい。治安もとても良いという。 

ミリエト紙のコラムによれば、アルビールのトルコ総領事アイドゥン・セルジェン氏はアルビールの名士として慕われているそうだ。 

一般住民の状況がどうなのか良く解らないが、自治政府のバルザーニ大統領は、トルコとの協力関係を築いて、安定した成長を図っているようである。かつて私は、バルザーニもタラバーニも、皆サダムと同じ穴の狢ぐらいに思っていたけれど、間違いだったかもしれない。 

まあ、なんでもケチを付けたがるトルコ人は、「バルザーニもエルドアンアメリカの子分だから宜しくやっているに違いない。トルコの企業が投資していると言っても、元をただせばアメリカの資本だろう?」なんて悪態ついているけれど、それならいっそのこと、PKKにもアメリカの子分になってもらいたい。それで、殺し合いが終わるなら良いじゃないかと思う。 

トルコのクルド問題も、今後、急な展開があるような気がする。トルコ政府が何処まで譲歩して打開するつもりなのか解らないが、“クルド語による教育”までを将来的には認めていく方針を明らかにすれば、一気に解決してしまう可能性もある。 

7月に、レイラ・ザナ女史とエルドアン首相の会談が実現した時は、『これで問題が解決したら、ザナさんノーベル賞だな』とか思っていたけれど、ザナ氏は他のクルド強硬派から支持を得られなかったし、エルドアン首相も政府内のコンセンサスを得ることに失敗したように思える。その後、事態はまた暗転してしまった。 

エルドアン首相はいろいろ言われているけれど、ザナ氏も「首相はとても辛抱強く私の話を聞いてくれた」と会談後に語っていたくらいだから、問題解決への意志は充分あるのではないだろうか? 

おそらく、この問題を解決して、トルコ共和国の歴史にその名を残したいという欲望は強いに違いない。なにしろギラギラに燃えているカリスマだから・・・。