先月、22日にトルコのテレビ番組で放送された「元文化観光相エルカン・ムムジュ氏へのインタビュー」をYouTubeで観た。
ムムジュ氏がテレビ番組に出演したのは、なんと15年ぶりのことだったらしい。ムムジュ氏は、2005年に文化観光相を辞任して、AKPからも離党したので、それ以来のテレビ出演ということになる。
Politika | Özlem Akarsu Çelik - Erkan Mumcu | 22.07.2020
2004年だったか、イスタンブールの観光ガイド協会で講演したムムジュ氏を、私は間近に見る機会に恵まれたけれど、ムムジュ氏はその頃よりも何だか若返ったようだ。
57歳になったムムジュ氏の頭髪はすっかり白くなっているものの、気取らないくだけた語り口は万年青年といった雰囲気である。2004年当時は、大臣ということもあって少し偉そうにしていたのかもしれない。
インタビューしている女性ジャーナリストには、反エルドアン的な傾向が明らかで、どうやら、15年前にエルドアン氏と仲違いして離党したと思われているムムジュ氏から、エルドアン大統領に対する批判的な話を聞き出したかったようである。
ところが、ムムジュ氏は、エルドアン政権下でトルコはどのように変わったのかという最初の問いに対しても、「・・・ある事象に社会的・経済的な背景がある場合、政治がこれを無視して変えようとする考えは間違っている・・・」といった調子で語り始め、問いの意図をはぐらかそうとしている。しかも、これは反エルドアン的な旧体制派への批判とも言えそうだ。
これを察したのか、ジャーナリストはムムジュ氏の話を遮り、より具体的な問いで迫ろうとしたが、結局、「エルドアン批判」と言えるような話は得られずに終わっている。
アヤソフィア・モスク化の問題についても、ムムジュ氏の話ぶりは、イスラム主義者と政教分離主義者の間の無用な論争のネタが、モスク化により終止符を打たれて結構だという風に、回りくどい言い方ながら、歓迎の意向を明らかにしているかのようだった。
しかし、クルド問題に関しては、かなり厳しく現エルドアン政権を批判していた。トルコの一体化を確固たるものにするため、クルド人民衆とのより確かな和解が必要だという趣旨だけれど、仮に、ムムジュ氏が政界への復帰を模索しているのだとしたら、これはなかなか興味深い。
現エルドアン政権は、対クルド強硬派のMHP、そして軍との協調で成り立っているから、ムムジュ氏のメッセージはこれに楔を打ち込むものであるかもしれない・・・というのはちょっと考え過ぎか・・・。
実のところ、ムムジュ氏は、1年ほど前にもネットの番組でインタビューに答えていた。そこでは、このテレビ出演で語った「クーデター事件をもたらしたのはエルドアン大統領とギュル前大統領の確執」といった内容以上に、ギュル前大統領へ非難の矛先を向けている。それは、ギュル前大統領とギュレン教団との関係を示唆するかのような発言だった。
そもそも、ムムジュ氏が2005年にAKPを離党したのは、ギュレン教団との対立があったためらしい。後に、エルドアン首相(当時)がギュレン教団を追い詰める目的で実施した「学習塾・予備校の廃止」は、もともとムムジュ氏が提唱していた策であるという。
いずれにせよ、ムムジュ氏がこれからどう動くのか注目したい。
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