メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコの地方選挙・続

エルドアン大統領は、選挙の結果を受けて、次のように述べたそうだ。
「明朝より、我々に何が不足していたのか検証し、これを補う作業に取り掛かります。何が起ころうと、その中に良いこともあるのです。これが民主主義の闘いでしょう」
選挙中に過激な発言を繰り返すことはあっても、終われば結果の如何に拘わらず、大概、こういった穏やかな発言に終始している。なんだか、状況によって色んな顔を使い分けているような気がする。
2013年6月の“ゲズィ騒動”では、面会した強面の映画俳優カディル・イナヌル氏が「いつもこのように穏やかに話せば良いのに・・・」と意見したところ、「貴方も銀幕では、いつも“カディル・イナヌル”を演じているじゃないですか」と返されたというエピソードが伝えられていた。
昨年の9月、それまでエルドアン大統領に対して嫌悪感を顕わにしてきたピアニストのファズル・サイ氏の母親が亡くなると、エルドアン大統領は自らサイ氏に電話して弔意を述べ、サイ氏もその返礼として、今年の1月、コンサートに大統領を招待、劇的な和解が実現したのは記憶に新しい。今後もそういった努力が続けられて行くに違いない。
分離独立を目論んでテロ行為を黙認する政党(HDP)さえも受け入れてしまうほど、大統領に嫌悪感を懐く人たちの票が選挙の結果を左右するのであれば、これはトルコと対立している欧米の勢力に付け入る隙を与えてしまうだろう。
また、エルドアン大統領は、選挙後のメッセージの中で、南東部クルド地域の支持者らに対し、「クルドの兄弟たちよ・・」と呼び掛けて、謝意を述べたという。これも実に有意義なメッセージだったと思う。
AKPは、南東部で新たにビトゥリス県とシュルナク県で知事を当選させている。ウルファ県やビンギョル県等々では、既にAKPの知事が就任していた。HDPは段階を経て、その勢力地域を狭めている。多くの人々が、HDPの目論む“分離独立”よりも、トルコ国民として生きる未来を選択しつつあるのではないだろうか。

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