メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

大統領府の会合

先日の大統領府の会合に招かれていたハリル・ベルクタイ氏が、昨日(1月24日)、定期的に出演している“Serbestiyet”という番組で、やはり会合の模様などを語っていた。
ベルクタイ氏は、大統領府を訪れるのも、エルドアン大統領と会うのも初めてだったそうである。それで、反エルドアン派の知識人の中から、「何故会いに行ったのか? 迎合したのか?」などと批判の声が出ているらしい。つまり、反エルドアン派は、招かれたところで、「独裁者の宮殿」には決して足を踏み入れたりしないのである。
しかし、憚らず自分は無信仰であると語り、歴史学者として「アルメニア大虐殺」を認める発言も躊躇わないベルクタイ氏が、いったい何を恐れたり、迎合したりする必要があるのだろう?
ベルクタイ氏によれば、会合は、英国のチャタム・ハウス(王立国際問題研究所)の規範を手本にして行われているため、参加者が他の参加者の発言等を口外することは慎まれているという。
そのため、ベルクタイ氏も自分の発言以外には、内容を殆ど明らかにしなかったけれど、会合の模様は、オラル・チャルシュラル氏がラディカル紙のコラムで述べた通りのようである。
エルドアン大統領は、ひたすら聞き役に徹し、参加者との間に権威主義的なヒエラルキーを感じさせることも全くなく、打ち解けた雰囲気が広がっていたらしい。
同様の印象は、様々な場面で、エルドアン大統領と初めて身近に接した他の識者たちからも驚きを持って伝えられている。演説などでは、拳を振り上げ、強面の表情を見せることが多いから、普段の様子は、余計にギャップを際立たせ、驚かれているのではないかと思う。
おそらく、状況に応じて色んな顔を使い分けているのだろう。政治家というのも、舞台裏を覗いたらそれほど華々しい稼業じゃないのかもしれない。