メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ターバンからフェス帽へ

オスマン帝国の末期を舞台にした、レシャット・ヌーリ・ギュンテキンの小説「イエシル・ゲジェ」には、ターバンを頭に巻いた保守派とフェス帽を被った改革派の対立が描かれている。

フェス帽は、共和国革命の後に禁止されて、イスラム的な保守派の象徴のようになってしまうから、オスマン帝国末期の当時は、改革派を象徴していた点がなんとも興味深く感じられた。

どうやらトルコの西欧化は、オスマン帝国以来、いくつかの段階を経て進んだらしい。こういった歴史にも、極端なことを好まないトルコの人たちの気質が表れているような気がする。

もっとも、これはトルコに限らず、多くの国や社会に共通しているかもしれない。非常に現実的なところも同様だろう。

今のAKP政権にしたって、あくまでも現実の変化を見ながら、柔軟に対応するので、宗教や思想による劇的な変化を期待したら、拍子抜けする場合が多いのではないか。

エルドアン大統領も発言は派手だけれど、実際の進め方はとても慎重で、それほど華々しい展開など、これまで余りなかったと思う。