メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

2019-01-01から1年間の記事一覧

北イラク・クルド自治区と北シリア

昨日、ワシントンで開かれた反IS連合の外相会議に出席したチャヴシュオール外相は、トルコによるIS掃討戦の過程を説明すると共に、シリアのクルド武装勢力YPG/PKKがテロ組織であることを改めて強調したという。 10日ほど前には、北イラク・クル…

エルドアン大統領とトランプ大統領の会談/ トルコ語のラテン文字化

エルドアン大統領とトランプ大統領の会談は、特に成果もなかったけれど、とにかく米国との関係が維持されたことでトルコ側は満足しているようだ。 サバー紙のメフメット・バルラス氏は、トランプ政権も、来年の選挙を乗り切るまでは、思い切った手が打てない…

「ついにヒロシマの仇を討った!」

2001年の「911」、クズルック村の工場で事件の第一報を聴いた時も驚いたが、翌日、トルコの新聞を見てぶっ飛んだ。 一面に大きく「ついにヒロシマの仇を討った!」というような見出しが躍っていたのである。 記事は、テロを敢行したのが日本赤軍であ…

アタテュルクの命日

昨日、11月10日は、アタテュルクの命日だった。トルコの各紙のサイトは、アンカラのアタテュルク廟にエルドアン大統領ら政府高官が集まった記念式典の模様をトップページの筆頭で伝えていた。 しかし、非常にイスラム的なアキット紙のサイトを見ると、相…

米国を中心とする世界秩序の動揺?

トルコ大統領府の首席アドバイザーであるギュルヌル・アイベット氏は、出演したニュース専門局CNNトルコの番組で、現在、欧米は、1945年以来続いて来た世界秩序の動揺により、各々の機構に亀裂が生じて意思統一が図れない状態に陥っていると指摘して…

米国の「大中東プロジェクト」は破綻した?

この2002年12月30日付けのインタビュー記事で、退役海軍中将のアッティラ・クヤット氏は、米国によるイラク戦争へトルコも参戦しなければならないと論じていた。 クヤット氏の主張は、既に決定づけられている参戦へ人々の理解を求めるような調子であ…

トルコの新聞記事/ムスリムによる政教分離の可能性

旧ホームページの「メルハバ通信」には、トルコの新聞記事を訳して掲載する欄を設けていた。 2011年の12月まで、252回に亘って続けていたけれど、私のPC上に保存してあったのは、2005年4月の137回までで、残りは手違いから削除されてしま…

ベルギー国籍のIS構成員の送還

トルコ国内で身柄を拘束されたベルギー国籍のIS構成員を、トルコ政府はベルギーへ送還すると発表している。 ところが、ベルギー政府は、IS構成員の国籍を剥奪して送還を拒み、「拘束された国で裁かれるように・・・」などと通達してきたそうだ。 トルコ…

イスラムはどういう宗教なのか?

日本でイスラムの社会について解説された記事を読んでみると、イスラムの教義から説き起こしている例が少なくない。 しかし、トルコでは、敬虔な信者であっても、教義を事細かに知っている人はそれほどいないだろう。 その多くは、礼拝のやり方や飲食などの…

偽りても賢を学ばんを賢といふべし

私の偏見かもしれないが、既存の権威に対する抵抗として生まれたキリスト教と違って、イスラム教は、元々為政者の側に立っているように見える。そのためか、権威に対する反抗は悉く戒められているという。異教徒が支配する社会で、イスラムの信仰を実践する…

トルコは欧米から不当に扱われている

20年以上暮らしたトルコは、私にとって第二の故郷と言える。そのため、何かにつけてトルコの肩を持ちたくなってしまうかもしれない。 しかし、公平に見ても、国際社会の中でトルコほど不当に扱われている国は珍しいのではないかと思う。 100年前の西欧…

大阪の茨木

昨日、1998年の7月まで2年7カ月に亘って暮らした大阪の茨木へ出かけてみた。加古川で新快速に乗り換えれば、1時間半ぐらいしか掛からない。 20年の歳月を経て、街の様子は大きく変わっていたが、住んでいたアパートはそのまま残っていて嬉しかった…

ISのバグダディ首領殺害

ISのバグダディ首領が殺害された事件、トルコでの続報が気になったけれど、28日の朝から翌29日の朝まで勤務時間になっていたため、昨日、ようやくニュース専門局の報道をYouTubeから少し視聴することができた。 このところ、24時間勤務して1~3日…

即位の礼

先週、世間は「即位の礼」の話題で持ち切りだったようだけれど、もともと余り興味のある分野でもないし、トルコの情勢が気になって、こちらのニュースには殆ど目も通していなかった。 だから、その批判の趣旨を良く理解しているわけじゃないが、「即位の礼」…

MIT(トルコ国家情報局)の前長官エムレ・タネル氏

先日、ネットで色々検索していたら、MIT(トルコ国家情報局)の前長官であるエムレ・タネル氏が、アルジャジーラ紙トルコ語版のインタビューに応じた2016年11月9日の記事が出て来た。 トルコ人女性ジャーナリストの問いに答えたタネル氏は、自身も…

トルコ軍は民間人に被害が出ないよう細心の注意をはらった

10月20日、「CNNトルコ(ニュース専門局)」に、トルコ大統領府の首席アドバイザーであるギュルヌル・アイベット氏(女性)が出演して見解を述べていた。 アイベット氏は、トルコ軍による「平和の泉作戦」が始まって以来、英国や米国の様々な放送局の…

トルコに対する偏向報道/慰安婦問題の虚偽証言報道

もしも、韓国語を学んだ欧米の人が、今の韓国のメディアから日本について知ろうとしたら、なかなか恐ろしげな日本のイメージが出来上がりそうだ。 欧米のメディア経由のトルコ情報は、これと似たようなものじゃないかと思う。 また、偏見によって初めから善…

トルコでいったい何が起こっていたのだろう?

旧ホームページに書いた数年前の駄文をこのブログで再掲載する作業を進めながら、トルコ関連の記事を読み返してみると、書いた当時は気づかなかったことに「おや?」と思ったり、「そういえばあれはどうなってしまったんだろう?」と考えさせられたりする。 …

糖質制限ダイエット?

この高砂市に来てから、また糖質制限を始めた。といっても少し緩めの制限だが、以来、1ヶ月の間に4キロぐらい落ちて、久しぶりに60キロを下回っている。 糖質制限は、外食の場合、トルコの方がやり易かったと思う。パンやライスさえ食べなければ、料理に…

2013年6月1日の「ゲズィ公園騒動」

今年の4月に閉鎖となったホームページ(メルハバ通信)の「トルコ便り」に掲載されていた駄文をこのブログに再掲載する作業もなかなか進まないので、とりあえず、2013年6月の分を先に終わらせてみた。 あの「ゲズィ公園騒動」が勃発した6月である。 こ…

米国が企図したトルコの分割?

トルコのメディアを見ていると、「公共料金の値上げは戦費調達のためだから仕方ない」といった記述が出て来たり、「戦争に反対するのはPKK国家に賛成ということだ」なんて見出しが躍っていたりする。もはや戦時体制に近い状況であるかもしれない。 ソビエ…

文在寅大統領は退陣してくれるだろうか?

韓国では、文在寅大統領の退陣を要求する保守派のデモが日増しに盛り上がっているらしい。大統領の支持率もかなり落ちて来たという。 私はこのニュースにホッと胸をなでおろしている。文在寅大統領は信念の人であるかもしれないが、その信念は現実からかけ離…

トルコとアメリカの深層国家/トルコ軍による「平和の泉作戦」

深層国家(deep state)という表現は、米国でも使われているそうだけれど、これはトルコ語の「derin devlet(深層国家)」に由来しているらしい。 この「derin devlet(深層国家)」が、トルコでいつ頃から使われるようになったのか良く解らないが、2000…

2016年7月15日のクーデター事件

以前、ホームページの「トルコ便り」に掲載した駄文の数々をこのブログに再掲載する作業を進めているけれど、ようやく2016年7月の分まで終えることができた。この先は、多少ましな駄文だけにして、あとは切り捨てて行くつもりである。 2016年7月1…

トルコの「31」はネパールの「36」!

福岡でネパール人就学生らと交流しながら、結局、ネパール語は1~10まで数えることさえ難しかった。10以降は到底無理である。 ネパール語の数詞は、1~100まで一つ一つ覚えて行かなければならないのである。数詞の作り方に一定の規則性はあるそうだ…

宗教家のビザ?

福岡を去って一ヶ月が過ぎた。福岡にはほぼ2年間いたことになるが、毎日同じ日常が繰り返されたため、あっという間に過ぎてしまった感じもする。 街歩きを楽しむ余裕すらなく、結局、大宰府や志賀島どころか福岡タワーへ登ることさえなかった。思い出に残り…

様々な左派革新/トルコと韓国

現在、トルコの人々は、極端な左派革新の共産主義者や極端なイスラム主義者、あるいはクルド等のエスニック的な民族主義者でもない限り、建国の父アタテュルクに一定の敬意を表していると思う。 しかし、保守的・イスラム的な人たちがアタテュルクを「救国の…

勝てない戦争

軍人は、現実を無視して戦争を始めた場合、真っ先に自分たちが死ぬことになるから現実的にならざるを得ない、とは良く言われるものの、戦前の日本の軍人たちは、果たしてどのくらい現実的だったのだろうか? 満州事変以降、日本軍は現実を見失って暴走したと…

姫路城

申し遅れましたが、8月末で福岡の職場を辞めて、兵庫県の高砂市に引っ越しました。姫路の直ぐ近くです。 高校時代の友人がここで警備員の仕事を斡旋してくれたので、有難く応えることにしました。 就学生らの話が聞けなくなるのは寂しいけれど、大阪にも1…

トルコの最も愛国的な組織

死を覚悟して戦地へ赴く軍人の心理がいったいどういうものであるのか私には想像もつかないが、やはり合理的には考えられない激しい熱情に駆られているのではないだろうか? そして、その熱情を宗教的な信心であるとか、民族主義的なイデオロギーが支えている…