メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

BRICS は「車が馬の前を走っている馬車」?

BRICSへサウジアラビアなど新たに6か国が加盟したのは、トルコでも大きな話題となっている。 トルコは長い間、EUへの加盟交渉で門前に立たされたまま、疎外感を味わって来たため、BRICSの拡大に期待する向きもあるようだが、8月29日付けサバー紙のコラム…

トルコにおけるクルド人とイスラムの問題

《2023年6月18日付けの記事を省略修正して再録》 トルコの米国に従わない姿勢が顕著になった2013年以降、トルコに対するネガティブな報道は執拗に続けられてきたのではないかと思う。 いつだったか(3~5年前?)、池上彰氏が司会を務める番組…

プリゴジン氏死亡事件の背景

トルコの報道番組(時事討論番組)はとても長い、その多くが2~3時間に至る枠でやっている。 トルコに居た頃は、重要な事件があったりすると、そういう番組をYouTubeで最初から最後まで観ていたりしたけれど、今はとてもそんな時間がない。10~20分に…

プリゴジン氏の搭乗機が墜落。これは陰謀なのか?

反乱事件の後、その動向が注目されていたプリゴジン氏のプライベートジェットが墜落し、プリゴジン氏を含む搭乗者全員が死亡したという。 反乱事件の直後、収束までの経過を伝えるトルコの報道番組で、元軍人の評論家が「プリゴジン氏は近いうちに交通事故で…

コロナに関するプロパガンダ~ウクライナ戦争

トルコのサバー紙のコラムニスト、メリッヒ・アルトゥノク氏は、「コロナ騒ぎ」の期間中、ワクチンを拒否していたために狂人扱いされていたそうだ。 8月6日付けのコラムでは、当時、アルトゥノク氏の主張に奇異の眼差しを向けていた周囲の様子とその後の変…

金大中氏/韓国人と日本人の識別法

《2009年8月19日付け記事を修正して再録》 14年前の8月18日、韓国の金大中元大統領が亡くなった。「民主化闘争の勇士」といった型通りの表現では捉えきれない「したたかでしなやかな政治家」だったのではないかと思う。 朴正煕氏や全斗煥氏の軍…

トルコのイスラム化?

11年ほど前、トルコの宗教教育の状況を調べるために来た日本の研究者の方たちとイスタンブール市内のイスラム導師養成高校(イマーム・ハティップ・リセスィ/İmam Hatip Lisesi/イスラムの教育に重点を置いた高校)を訪れた。 そこは導師養成高校の中で…

敗戦の日に平和を考える

78年前の8月15日、日本はポツダム宣言を受諾して降伏した。こうして太平洋戦争が終結する。多分、日本でこの歴史を知らない人は殆どいないと思う。 そして、多くの人たちが無謀な戦争を始めた軍部を非難してやまない。今、真珠湾攻撃による開戦を肯定的…

朝鮮戦争に参戦したトルコ軍兵士らの記念碑

今年は「朝鮮戦争休戦協定」が1953年7月27日に調印されてから70周年になるという。そのためか、YouTubeにも朝鮮戦争に纏わる様々な動画が配信されていた。 以下の動画では、戦死したトルコ人兵士の遺児である老婦人が、70年を経て初めて韓国へ墓…

「スウェーデンのNATO加盟」と「トルコのEU加盟」

スウェーデンのNATO加盟に対し、エルドアン大統領は「EUが我々に門戸を開けば、我々もスウェーデンのNATO加盟への道を開く・・」などと言いながら、一応、加盟承認に前向きな姿勢を見せ、議会に諮ることを約束した。 しかし、その議会は秋まで開か…

「山の日」の登山

今日から盆休みに入ったが、この8月11日は「山の日」という祝日なんだそうである。いつ頃、どういう意図で制定されたのだろう? その由来は解らないけれど、天気も良かったし、「山の日」にちなんで、今日は家から自転車で登山口まで行ける高御位山に登っ…

プーチン大統領がトルコを訪問する予定

トルコの報道によれば、プーチン大統領は、いよいよトルコを訪れて、エルドアン大統領と会談するらしい。まだ期日は明らかになっていないが、訪土については、昨日の電話会談で合意が得られたという。 穀物輸出の再開が主な議題になると言われているけれど、…

トルコのトルコ人差別

この「民族と国家」を私は95年か98年頃に読んだのではないかと思う。 これを読んで得られた予備知識がなければ、その後トルコで見聞した様々な事柄の意味が良く理解できなかったに違いない。 例えば、「オスマン帝国の時代、トルコ人(Türk)とはアナト…

トルコのロマ人(ジプシー)差別

www.youtube.com このYouTube動画は、イスタンブールのロマ人が多く住む街区を紹介している。 ロマの人々はインドから流浪の旅に出て西へ移動し、15世紀頃にはヨーロッパの各地へ到達したようである。 トルコでは流しの楽団や花売りにロマ人が多いと言われ…

トルコのクルド人差別

《2009年9月4日付けの記事を修正して再録》 2009年の5~6月頃、テレビ取材の仕事で、運転手付きのレンタカーを借り、トルコで最も西に位置するチャナッカレやトラキア地方を回った。 運転手は、トルコの東端に位置するヴァン県のクルド人で、な…

ローザンヌ条約の是非(工事現場の議論)

《2015年9月27日付け記事を再録》 <2015年9月:イスタンブールの工事現場で・・> 現場の休憩時間に、2人の作業員が何やら議論していたので、側に寄って聞いてみたら、なんとローザンヌ条約の是非を論じ合っていた。 この2人は、南東部マルデ…

イランで道徳警察が取り締まりを再開

www.youtube.com トルコのニュース番組で、イランの「道徳警察」が復活したと報じられている。 昨年、スカーフを正しく被っていなかったとして「道徳警察」に逮捕された女性が死亡した事件の後、大規模な抗議デモが続いたため、取り締まりを中止していた「道…

スウェーデンのNATO加盟/トルコの議会は承認するのか?

エルドアン大統領がスウェーデンのNATO加盟に賛意を示し、トルコの議会に諮ることを約束したという。 しかし、トルコの議会が開かれるのは10月になってからなので、加盟が議会で承認されるまで、まだ3ヶ月近く待たなければならないらしい。 それでも…

トルコとイランの世俗化

www.youtube.com 最近、このようなイランの状況を伝える動画がYouTubeにたくさんアップされている。 動画を見ると、街角を行く女性の多くはスカーフを被っていない。 昨年、スカーフを正しく被っていなかったとして道徳警察に逮捕された女性が死亡した事件の…

ウクライナ戦争の終結は実現するだろうか?

イスタンブールを訪れたゼレンスキー大統領と会談したエルドアン大統領が、「ウクライナはNATO加盟に値する」と述べたのは日本でも大きく報じられた。 しかし、トルコでは、この発言の裏に『テロリストを保護しているスウェーデンは値しない』という含み…

川口市でトルコ人同士による刃傷沙汰

この2週間ほどの間、日本に在住しているクルド系トルコ人の問題から「移民」や「難民」について何度か取りあげてきたが、それまでは特に関心を持って調べていたわけじゃない。 発端は、先のトルコにおける選挙の結果を数字で確認している際、何気なく「在外…

西欧の移民問題

邦人企業のアダパザル県クズルック村の工場で働いていた頃だから、やはり20年ぐらい前じゃないかと思う。 イスタンブールで日本語に堪能なドイツ人の青年と話す機会があった。発音はあまり良くなかったが、難しい言葉も使いこなして教養を感じさせる日本語…

パリは燃えているか?

フランスが大変なことになっているという。 トルコの報道番組は、騒動が勃発して以来、連日、フランスの惨状を伝えていた。 日本でも、少し遅くなったが、ようやく大々的に報じ始めたようである。 日本に限らず、欧米各国のメディアも対応が遅かったらしい。…

クルド系トルコ人の産廃業者による不法投棄の問題

埼玉県の蕨市が「ワラビスタン」などと呼ばれ始めたのは、いつ頃からだろう? 既に20年以上経っているのではないかと思う。 多くのクルド系トルコ人が居住するようになったため、どうやら「クルディスタン」をもじって「ワラビスタン」になったらしい。 最…

日本にクルド人難民申請者が多い理由は?

SNSに投稿されているメッセージで読んだだけなので、同様に感じている人たちがどのくらいいるのか解らないが、難民申請中のクルド人らを不快に感じている人たちもいるようだ。 街角に集まって騒いだりするクルド人がいるらしい。私はその実態を見ていない…

ワグネルの反乱/トルコの実況放送

世界を震撼させた「ロシアの民間軍事会社ワグネルの反乱」は2日も経たない内にあっけなく幕を下ろしてしまった。 しかし、未だに謎が多く、反乱に至る経過やその背景も明らかになっていない。 事件が勃発した当初は、まさしく海の物とも山の物とも解らない状…

日本はクルド民族主義者の牙城なのか?

先月、トルコで大統領選挙(1回目)と共に行われた議員選挙における在外投票の結果はどうなっていたのか調べてみた。 以下のサイトには、各国でどの政党が最多票を獲得したのかによって色分けされた世界地図が掲げられている。 黄土色はエルドアン大統領の…

トルコと日本の裏の顔?

この「『トルコの大統領選挙』果たして結果はどうなるだろう?」という駄文に、「日本のようにある程度均質な社会と異なり、トルコの社会は多様性に富んでいる」なんて書いたけれど、日本の社会の均質性とやらも一種の幻想ではないだろうか? 70年代ぐらい…

戦い済んで日が暮れて・・・?

大統領選挙の前に「トルコで政権交代か?」などと盛り上がっていた日本のメディアも、エルドアン大統領の再選に意気消沈してしまったのか、トルコに関するニュースはめっきり少なくなった。 選挙が拮抗した戦いであったのは確かだけれど、そもそもエルドアン…

トルコの中央銀行総裁にエルカン氏が就任

トルコの中央銀行総裁にハフィゼ・ガイェ・エルカン氏が任命された。41歳のエルカン氏はトルコで初の女性の中央銀行総裁となる。 メフメット・シムシェク財務相の再任が決まって以来、中央銀行にもシムシェク氏の要望する人事が行われるのではないかと取り…