メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

日本はクルド民族主義者の牙城なのか?

先月、トルコで大統領選挙(1回目)と共に行われた議員選挙における在外投票の結果はどうなっていたのか調べてみた。

以下のサイトには、各国でどの政党が最多票を獲得したのかによって色分けされた世界地図が掲げられている。

黄土色はエルドアン大統領のAKP、赤はクルチダルオール氏のCHP、そして紫色はクルド民族主義政党のHDP(今回はYeşil sol partiという名称で選挙に出ている)である。

出稼ぎの労働者が多い西欧や北アフリカ等ではAKP、留学生や知識層が多いと思われるロシア・中国・米国等ではCHPの得票率が高かったようだ。

こうして世界は、黄土色と赤に色分けされたと思って見ていると、クルド民族主義政党HDPの紫色に染まった国が1つあることに気がついた。

その国は他でもない日本であり、HDPの得票率は31%となっているが、東京の大使館における投票では45%に及んでおり、名古屋の領事館で5,5%に止まったために、全体として31%になったようである。

名古屋には、黒海地方オルドゥ県の出身者が多いという。一方、関東に多いのは南東部アドゥヤマン県の出身者らしい。

アドゥヤマン県の住民はその大半がクルド人であることが、この在外投票の結果にも反映されたのだろうか? 

しかし、トルコ本国でHDPのアドゥヤマン県における得票率は12%に過ぎず、AKPが52,3%で第1党だった。

前回2018年の在外投票結果もついでに調べてみたところ、以下のサイトで見られるように、日本以外にもスウェーデンフィンランドなどが紫色に染まっている。

HDPは、スウェーデンで前回の37%から25%に、フィンランドで48%から24%に得票率を落としている。これは両国がNATO加盟のため、テロ対策等のトルコ政府の要請に応えた結果だろうか?

もっとも、HDPはトルコ本国でも、その他の国々の在外投票でも得票率を落としている。

2018年、日本では東京の大使館だけが在外投票を実施しているが、HDPの得票率は44,3%で、東京に限っていえば、今回は45%に得票率を伸ばして世界的な例外となってしまった。

以下の駄文で、2015年の在外投票の結果をお伝えしたけれど、日本は当時からクルド民族主義者の牙城となっていたのかもしれない。