フランスが大変なことになっているという。
トルコの報道番組は、騒動が勃発して以来、連日、フランスの惨状を伝えていた。
日本でも、少し遅くなったが、ようやく大々的に報じ始めたようである。
日本に限らず、欧米各国のメディアも対応が遅かったらしい。トルコの番組で、コメントを求められた識者が、「トルコのゲズィ公園騒動の報道は迅速だったのに、何故、フランスの問題は取り上げるのが遅くなるのだ」と論じていた。
一方、フランスの騒動にも、ゲズィ公園騒動で取り沙汰された「カラー革命」的な要素がありそうだと論じる識者もいる。
マクロン大統領は、米国の意に反して、ウクライナ戦争の停戦を求めたり、中国との関係を深めたりしていたので、米国の諜報機関が騒動を煽っている可能性もあるというのだが、もちろん何の確証もない推論に過ぎないだろう。
昨日の駄文に、日本は「汚れ仕事」を自分たちの手で行わず、「他人」に任せていたため、不法投棄などによる迷惑で、つけを支払わされているのではないかと書いたが、フランスはもっと大きなつけを支払わなければならなくなるかもしれない。
昨日は、トルコとの比較で「汚れ仕事」を在日等々に委ねて来た私たちの問題を提起してみたけれど、西欧各国も「汚れ仕事」は全て旧植民地の人たちにやらせていたようだ。
それももっと激しい差別的な条件の下でやらせていたのではないかと思う。そのため、つけも「不法投棄による迷惑」程度では済まなくなる。
トルコの場合、シリア難民はイスラム同胞であり、差別して見下すことができる異教徒などいなかった。かえって、クリスチャン等の異教徒が、ムスリムを見下していただろう。
20年前、トルコで私が働いていた邦人企業は、トルコ人の社員をベルギーにある資材センターへ出向させていた。
当時、トルコの工場で使う資材の多くは、ベルギーの資材センターを経由して送られてきたが、センターのベルギー人社員は怠慢でミスも多く、資材の供給に不具合を生じさせたので、結局、業務をトルコ人の社員に一任したそうである。
日本人出向者の方々は、「怠慢で働かない連中が多いのに、何故、ベルギーは豊かなんだ? トルコ人のほうが遥かに勤勉だよ」と首を傾げていた。
しかし、日本の人たちも、あれほど頑張って働いて来たのに、西欧より豊かに見えたのはバブルの一時期だけだったかもしれない。
日本人は自分たちも欧米先進国の一員だと思っているから、欧米を中心とするシステムが動揺している現状に恐れ慄いているけれど、日本はこのシステムの中でそれほど美味しい思いはして来なかったようにも思える。
かつて植民地主義で繁栄を極め、今でも旧植民地の人たちを差別的に酷使しているのはフランスに限らない。フランスの惨状は他の西欧諸国にも飛び火するのではないかと言われている。
果たして、これから世界はどうなるのだろう? それは日本にとって凶となるのか吉となるのか?