メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

「スウェーデンのNATO加盟」と「トルコのEU加盟」

スウェーデンNATO加盟に対し、エルドアン大統領は「EUが我々に門戸を開けば、我々もスウェーデンNATO加盟への道を開く・・」などと言いながら、一応、加盟承認に前向きな姿勢を見せ、議会に諮ることを約束した。

しかし、その議会は秋まで開かれないうえ、加盟承認の是非を決めるのは、あくまでも議会であるとエルドアン大統領は言明している。

NATOの問題に、トルコのEU加盟交渉を絡めるのは筋違いであるように思えるが、NATOのストルテンべルグ事務総長も「トルコのEU加盟を支持する」と応じて、筋違いを意に介していないようだ。

というより、EUに加盟していないノルウェーの人であるストルテンベルグ氏がトルコのEU加盟を支持したのも筋違いであるかもしれない。なんだか、全てが「狐と狸の化かし合い」であるような気もする。

そのEUからは、先週、「トルコ人に対するビザの問題を、今秋、議題に取り上げる」という応答があったそうだ。どうやら、双方で時間稼ぎをしながら、「化かし合い」を続けるつもりらしい。

そもそも、EUが議題にするというのは「ビザの問題」であって、EU加盟交渉ではないけれど、これに対して、トルコからは左程の反発も見られないようである。

現在、トルコが望んでいるのは、EUとの関税同盟の更新と「ビザの免除」であって、EU加盟など既に何処かへ消え去ってしまったのではないかと言われている。

これには、「EUがトルコの加盟を認めることなど有り得ない」という現実的な判断もあるが、EUに以前のような魅力が感じられないことも要因になっているのかもしれない。

かつては、トルコフリークの私もトルコのEU加盟に舞い上がっていた。その頃はEUに限らず、欧米の全てがもっと輝いて見えていたからだ。それが今や、輝くどころか燃えつきているかのような雰囲気である。中国に憧れて来た私には、東洋の方がよっぽど輝いているように思えてしまう。

そして、今のところ欧米の圧迫により苦しんでいるトルコが輝きだすのも間近いと期待している。

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