メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

NATOはトルコに対する最も大きな脅威? 何故、トルコはNATOに加盟したのか?

スウェーデンフィンランドNATO加盟を拒否していたトルコは、両国が「テロ対策」等々に関する要求を受け入れたとして、両国の加盟を支持したという。

これに対するトルコの世論の反応が気になるけれど、今日のトルコ各紙のコラムには、まだこの問題についての論評は出ていないようだ。出ていたところで目を通すような時間もない。さきほど、仕事から戻って、ユーチューブでトルコの時事討論番組を少し観ただけである。

観た限りでは、この「要求受け入れ」に関して疑念を示す識者も少なくない。何故なら、トルコを悩ましているテロ組織へ最も大きな支援を行っているのは米国であり、米国の了解がなければ、スウェーデンフィンランドの「要求受け入れ」には実質が伴わない可能性もある。そのため、明日以降に行われるエルドアンとバイデン両大統領の会談で何が明らかにされるのか、そして、それは具体的な結果をもたらすものなのか、暫く経過を見なければならないという。

一方、強固な反米主義者であるドウ・ペリンチェク氏は、自身の傘下にあるウルサル放送局の番組に出演し、「米国の脅しにエルドアンは屈してしまった」として、真っ向からこの加盟支持に反対している。

ペリンチェク氏によれば、加盟拒否の理由として「テロ組織への支援」等を掲げたことが間違いの始まりであり、当初より「NATOの拡大に反対する」と言わなければならなかったそうである。「NATOはトルコに対する最も大きな脅威」とまで言い放っているけれど、NATO加盟国のトルコがそういう態度を見せたら、いったいどうなるのだろう?

しかし、トルコには、以下のようなアネクドートもある。

トルコは、朝鮮戦争に出兵して多大な犠牲を払いながら、やっとNATOへの加盟を実現した。何故、そこまでしてNATOに加盟したかったのか? 何処からの脅威に対してトルコを守ろうとしたのか? その答えは、「もちろんNATOの脅威からトルコを守るため」・・・。