メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

「米国が躓いたその時、手に棍棒を握りしめた多くの国が待ち構えている・・」?

ロシアのウクライナ侵攻から既に1ヵ月が経過した。このまま泥沼化してしまうのか予断を許さない状況であるらしい。

米国はこれを機会にNATOの結束を図りたいようだが、それは決して思い通りに行かないだろうとトルコの識者らは論じている。そもそも、NATOの一員であるトルコがロシアへの経済制裁に同調せず、中立的な立場を保っているのだから、当然の論説であるかもしれない。

経済制裁も各国がロシアから天然ガスの購入を続けたりして抜け穴だらけではないかと言われている。果たして、これからどうなるのだろう?

「米国は西欧を制御下に置く装置としてNATOを使って来た」と主張する識者もいる。その主張によると、フランスもドイツもこれを認識しているため、いずれはNATOからの脱却を図るのではないかと言う。

私のように経済も何も解っていない者は、上記の記事を読んで、「トルコやロシアなど米国と対立する国々が外貨準備における金の比率を高めている」と額面通りに受け取ってしまうけれど、以下の「世界の金保有国ランキング」という表を見たら、独仏は外貨準備としてロシアなどより遥かに多い金を保有している。

しかし、外貨準備における金の比率、ドイツの66.2%に対して、日本が僅か3.5%というのは、いったいどういうことなのか?

おそらく、フランスやドイツも含めて多くの国々が、ロシアだけではなく米国に対しても『いい加減にしろ!』と思って来たに違いない。米国は冷戦終結以降、特にイラク戦争を境に際立って横暴な態度を取るようになっている。

「米国はチェス、中国は囲碁?」という駄文でもお伝えしたように、ジョシュクン・バシュブーという軍事評論家(元大佐)は、「米国が躓いたその時、手に棍棒を握りしめた多くの国が待ち構えている・・」と述べていたけれど、棍棒を手に待ち構えているのは、トルコのような国々ばかりじゃないかもしれない。

もちろん、米国もそれを理解しているからこそ、NATOの結束を図ろうとしている。そのため、トルコにも手を差し伸べてくるのではないかと言う識者も少なくない。

例えば、トルコを悩ましてきたテロ組織PKKへの支援を打ち切るとか、やはりトルコではテロ組織として認定されているギュレン教団を切り捨てるといった説も浮上してきている。

PKKとギュレン教団が消滅してくれたら、トルコはこれまでの緊張から解放されるに違いない。なんだか、明るい未来が開けてきそうな気もする。しかし、それほど巧く事が運ぶだろうか?

イスタンブールの美しい夕暮れ(2014年8月)

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