メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

2023-01-01から1年間の記事一覧

ウクライナ戦争の終結は実現するだろうか?

イスタンブールを訪れたゼレンスキー大統領と会談したエルドアン大統領が、「ウクライナはNATO加盟に値する」と述べたのは日本でも大きく報じられた。 しかし、トルコでは、この発言の裏に『テロリストを保護しているスウェーデンは値しない』という含み…

川口市でトルコ人同士による刃傷沙汰

この2週間ほどの間、日本に在住しているクルド系トルコ人の問題から「移民」や「難民」について何度か取りあげてきたが、それまでは特に関心を持って調べていたわけじゃない。 発端は、先のトルコにおける選挙の結果を数字で確認している際、何気なく「在外…

西欧の移民問題

邦人企業のアダパザル県クズルック村の工場で働いていた頃だから、やはり20年ぐらい前じゃないかと思う。 イスタンブールで日本語に堪能なドイツ人の青年と話す機会があった。発音はあまり良くなかったが、難しい言葉も使いこなして教養を感じさせる日本語…

パリは燃えているか?

フランスが大変なことになっているという。 トルコの報道番組は、騒動が勃発して以来、連日、フランスの惨状を伝えていた。 日本でも、少し遅くなったが、ようやく大々的に報じ始めたようである。 日本に限らず、欧米各国のメディアも対応が遅かったらしい。…

クルド系トルコ人の産廃業者による不法投棄の問題

埼玉県の蕨市が「ワラビスタン」などと呼ばれ始めたのは、いつ頃からだろう? 既に20年以上経っているのではないかと思う。 多くのクルド系トルコ人が居住するようになったため、どうやら「クルディスタン」をもじって「ワラビスタン」になったらしい。 最…

日本にクルド人難民申請者が多い理由は?

SNSに投稿されているメッセージで読んだだけなので、同様に感じている人たちがどのくらいいるのか解らないが、難民申請中のクルド人らを不快に感じている人たちもいるようだ。 街角に集まって騒いだりするクルド人がいるらしい。私はその実態を見ていない…

ワグネルの反乱/トルコの実況放送

世界を震撼させた「ロシアの民間軍事会社ワグネルの反乱」は2日も経たない内にあっけなく幕を下ろしてしまった。 しかし、未だに謎が多く、反乱に至る経過やその背景も明らかになっていない。 事件が勃発した当初は、まさしく海の物とも山の物とも解らない状…

日本はクルド民族主義者の牙城なのか?

先月、トルコで大統領選挙(1回目)と共に行われた議員選挙における在外投票の結果はどうなっていたのか調べてみた。 以下のサイトには、各国でどの政党が最多票を獲得したのかによって色分けされた世界地図が掲げられている。 黄土色はエルドアン大統領の…

トルコと日本の裏の顔?

この「『トルコの大統領選挙』果たして結果はどうなるだろう?」という駄文に、「日本のようにある程度均質な社会と異なり、トルコの社会は多様性に富んでいる」なんて書いたけれど、日本の社会の均質性とやらも一種の幻想ではないだろうか? 70年代ぐらい…

戦い済んで日が暮れて・・・?

大統領選挙の前に「トルコで政権交代か?」などと盛り上がっていた日本のメディアも、エルドアン大統領の再選に意気消沈してしまったのか、トルコに関するニュースはめっきり少なくなった。 選挙が拮抗した戦いであったのは確かだけれど、そもそもエルドアン…

トルコの中央銀行総裁にエルカン氏が就任

トルコの中央銀行総裁にハフィゼ・ガイェ・エルカン氏が任命された。41歳のエルカン氏はトルコで初の女性の中央銀行総裁となる。 メフメット・シムシェク財務相の再任が決まって以来、中央銀行にもシムシェク氏の要望する人事が行われるのではないかと取り…

エルドアン大統領へ投票した人々

2004年3月26日付けラディカル紙の「トルコにおけるムスリムによる政教分離の可能性」というコラム記事で、アヴニ・オズギュレル氏は、「トルコ共和国が複数政党制に移行した1946年以来この方、選挙民の選択は全く変わっていない。トルコ国民の6…

トルコの新閣僚/財務相にシムシェク氏が再任

昨日、エルドアン大統領の就任式が行われ、その後、閣僚の人事が発表された。 留任は文化観光相のエルソイ氏と保健相のコジャ氏のみで、後は総入れ替えとなったが、注目の財務相にはメフメット・シムシェク氏の再任が決まっている。 シムシェク氏はこの難局…

トルコの経済運営を担うのは誰になるだろうか?

トルコでは、再選されたエルドアン大統領の閣僚人事が注目されている。新閣僚は、6月3日の夕方頃明らかになるという。 経済運営を担う閣僚には、メフメット・シムシェク氏の名が挙がっている。しかし、この難しい経済状況の中で、シムシェク氏は敢えて火の…

決選投票でエルドアン大統領の再選が確定

トルコの大統領選挙、決選投票でエルドアン大統領の再選が確定したという。 また、いつものように変な例えで申し訳ないけれど、大相撲の今場所12日目、朝乃山関が2敗に後退した時点で、横綱照ノ富士関の復活優勝がほぼ決まっていたのと同じような感じじゃ…

大統領候補のパニック/エレベーターの突然停止でパニック?

トルコの大統領選挙、野党6党連合の候補クルチダルオール氏は、大きく的を外した選挙前のアンケート調査を信じていたのだろうか? なんとか決選投票に持ち込んだものの、エルドアン大統領にかなりの差をつけられたことが心外だったのか、温厚なクルチダルオ…

決選投票の行方と日本のスフレパンケーキ

トルコの大統領選挙、決選投票でどちらを支持するのか注目されていたスィナン・オアン氏は、20日になって急遽、エルドアン大統領と会って話し合った後、22日の記者会見でエルドアン大統領を支持すると発表した。 ところが、オアン氏の重要な同志である勝…

トルコの大統領選挙・決戦投票で鍵を握るオアン氏の動向

トルコの大統領選挙、5,2%で3位となったスィナン・オアン氏は、国土の統一を脅かすテロ組織PKKやギュレン教団と戦う姿勢を見せていたため、決選投票ではエルドアン大統領を支持するのではないかと言われていたが、どうやら対抗する野党6党連合のクル…

子供たちにお金を配るエルドアン大統領

www.youtube.com トルコの大統領選挙、エルドアン大統領夫妻が有権者としての権利を行使するために訪れた投票所で、子供たちに200リラ紙幣を配っている姿が見える動画は日本のメディアでも放送され、なかなか反響を呼んでいるようだ。 「選挙法違反じゃな…

何故、エルドアン大統領が優勢だったのか?

トルコの大統領選挙、野党6党連合のクルチダルオール氏は何とか決戦投票に持ち込むことはできたものの、エルドアン大統領に明らかな票差をつけられている。 これには様々な要因があげられるだろう。例えば、クルド民族主義政党HDPから支持を受けたことも…

大統領選挙は決戦投票へ

トルコの大統領選挙は、エルドアン大統領が49,42%の得票率に留まり、結局、44,95%で2位につけた野党6党連合のクルチダルオール氏との決選投票が2週間後に行われることになった。 常識的に考えれば、あと5万票(訂正:50万票)を上乗せすれば…

トルコの大統領選挙・直前の波乱

トルコの大統領選挙、野党6党連合の候補クルチダルオール氏は、当選すれば欧米のロシア制裁に加わる意向を示したという。 ところで、つい数日前にトルコのチャヴシュオール外相は、シリア内戦の問題解決に向けて、モスクワで「トルコ・ロシア・イラン・シリ…

「前期エルドアン政権と後期エルドアン政権の対決」?

いよいよ3日後に迫ったトルコの大統領選挙、「共和国の存亡をかけた戦い」であるとか「グローバルなインペリアリズムと伝統的なトルコ国家の対決」などと喧伝されているが、もう一つ、「前期AKP政権と後期AKP政権の対決」という要素もあるのではない…

ケマル・デルビシ氏の訃報/1週間後に迫った大統領選挙

トルコから伝えられたニュースによれば、2001年~2002年にエジェビット内閣の経済担当相を務めたケマル・デルビシ氏が米国で亡くなった。まだ74歳だった。 デルビシ氏は、2001年にトルコが経済危機に陥ると、22年間勤務した世界銀行を辞職して帰国、経済担当…

日本は何処で道を間違えたのか?

SNS上の投稿を読んだだけで、何処まで理解できているのか心許ないが、韓国・朝鮮の研究で知られる政治学者の木村幹氏によると、伊藤博文は当初より朝鮮に対して高圧的な態度で臨んだため、朝鮮の人々から嫌悪されたという。詳しくは木村幹氏の著作である…

日韓基本条約はいつまで有効なのか?

今年の1月5日付けサバー紙のコラムで、ハサン・バスリ・ヤルチュン氏はローザンヌ条約について論じながら、国際条約で唯一の保証となるのは「各国家における条約を継続させる力と意志」であり、世界の歴史は、反故にされた「条約」と新たに締結される「条…

資源大国ロシアのしぶとさ?

近年、トルコは領域内の資源の開発ばかりでなく、軍事兵器の国産化にも力を入れて来た。これらを外国からの輸入に頼っている限り、自主独立は難しいと考えているからではないかと思う。 現在、ロシアは厳しい経済封鎖を受けているものの、それほどの窮地に陥…

ローザンヌ条約と石油資源

「ローザンヌ条約の密約」については、日本でも関心を持っている人が少なくないようだ。 密約とは『有効期限が切れる2023年まで、トルコは自国内にある石油資源の採掘を行わない』というものだが、上記の駄文にも記したように、そもそもローザンヌ条約に…

LGBTの問題/トルコの同性愛者

イスラムの教義で同性愛は禁じられているという。 2009年、女性タレントのインタビューを受けたトルコのイスラム主義者アブドゥルラフマン・ディリパク氏も、「イスラムに同性愛はあるのか?」という問いに対し、「イスラムでは、同性愛に限らず、あらゆ…

血のメーデー?

昨日は「メーデー」だった。しかし、配送のトラックを運転しながら街の様子を窺った限りでは、メーデーを思い起こさせるところなど何処にも見当たらなかった。 およそ40年前の5月1日、私は今と同じように配送のトラックで混雑する東京都内の道を走ってい…