メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

日韓基本条約はいつまで有効なのか?

今年の1月5日付けサバー紙のコラムで、ハサン・バスリ・ヤルチュン氏はローザンヌ条約について論じながら、国際条約で唯一の保証となるのは「各国家における条約を継続させる力と意志」であり、世界の歴史は、反故にされた「条約」と新たに締結される「条約」の繰り返しであると述べていた。

1965年に締結された日韓基本条約も、そういった国際条約の一つに違いない。そのため、「請求権の問題は解決済み」といつまで言い続けることができるのか、これも保証されているわけじゃないだろう。当然、双方の力関係に変化が生じれば、条約そのものが反故にされてしまうかもしれない。

2021年の6月、ジャーナリストの青木理氏は、出演した報道番組で日韓基本条約の背景について、以下のように語ったという。

アメリカが共産圏と対峙するために、日本と韓国に『仲良くせいや』と言ってきたこともあったし、日本の保守勢力が韓国の軍事政権と結びついていた・・・政治的妥結として国交正常化した」

日本は戦後の冷戦構造の中で、戦前に犯した「罪」の咎めを猶予されていたきらいがある。ここで「罪」の有無など論じたところで何も得られない。原爆投下の「罪」は猶予どころか無罪放免されてしまった。

日本は太平洋戦争でこてんぱんに叩きのめされ、連合国に対して無条件降伏したのだから、もっと酷い目に合わされていても仕方がなかったのに、冷戦によって猶予されていたのではないかと考えてみたのだ。

韓国の人たちに対して、「何故、今頃になって、また蒸し返そうとするのか?」と文句を言う日本の識者もいるが、冷戦は30年前に終結し、韓国は日本と肩を並べる経済力・技術力を持つに至った。条約締結当時のような弱い立場ではないのである。

国交正常化の立役者だった故金鍾泌元首相は、「韓国が経済的に発展して日本と同じくらい豊かになれば反日感情はなくなる。日本は兄のような気持ちで韓国を見守って欲しい」などと語っていたけれど、今考えてみたら、これほど巧い誤魔化しもないような気がする。

その頃の韓国は、「兄のような日本」から援助を引き出さなければならなかったため、余り強いことも言えなかったが、今は違う。立場が強くなれば遠慮もいらなくなるのではないか? 

それは、明治の日本が欧米や近隣に対して、どのように態度を変えて行ったのかを見ても解るだろう。

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