メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

「親日VS反日」

《2013年5月8日の記事を一部書き改め省略して再録》

相変わらず日本のメディアは、「反日」にギャーと叫び、「親日」にヒャーと喜ぶ。そして、「親日国トルコ」で盛り上がろうとする。

もちろん、トルコにも親日的な人はたくさんいるけれど、政府が特に親日的な政策ばかりを進めているわけじゃない。また、親日的な人たちが、その他の国々に比べて極端に多いわけでもない。反日的な人は割りと少ない方かもしれないが・・・。

そもそも、親日的な政策ばかりを進めている国など、世界の何処にあるのだろう?

親米的な国ならたくさんある。政治的に、あるいは経済的に、米国の強い影響下にある国々がそれで、日本はもちろん、トルコも冷戦の時代は明らかに「親米国」だった。しかし、当時も、トルコで「嫌いな国」のアンケートを取ったら、おそらく1位は米国になっていたと思う。

およそ、普通の人間関係でも、自分のことを牛耳っている人物に親しみを感じる人は余りいないはずだ。だから、多くの親米国で大半の人たちは、米国に余り親しみを感じていない。それどころか、憎んでいたりする。

日本も、かつて東アジアに覇を唱えていた頃は、幾多の国々を牛耳っていたから、「親日国」も存在していたのではないか。例えば、満州国大韓帝国などである。

個人的に「親日」や「親米」になるのと、国をあげて「親日」や「親米」になるのとでは、意味が異なって来るように思える。

また、個人的な「親しみ・好き」という感情には、敬意が含まれている場合もあれば、上から目線で「可愛らしい」と感じているだけの場合もある。

我々、平和で優しい現代日本人の多くは、多少、上から目線で親しまれても、これを喜んで受け入れそうだが、例えば、ロシアのプーチン大統領などはどうだろう? 

「日本人の多くが、ロシア可愛い、好きと言ってます」なんて報告受けたら、「まだ俺たちのことを恐れていないのか、もう一発ビビらせてやれ」とでも言いそうな気がする。

もちろん、これは冗談で、そんなこと言わないと思うけれど、日本でタカ派的な論陣を張り、拳を振り上げて、反日を糾弾している人たちが、「親日」に喜んでいるのを見ていると、何だか情けなくなってしまう。

雄々しいタカになりたいなら、方々を牛耳って、「親しみ」など断ってしまえば良い。親日より反日が増えることを望むべきだ。

親日を増やすのは簡単だろう。金をばらまけば、いくらでも親日になってくれる。

反日を増やすのは簡単じゃない。80年代の憎々しいほど強い「経済大国日本」を再現できれば、反日も増えると思うが、これは可能だろうか?

まあ、ここまでは冗談だが、韓国とトルコを比べてみると、韓国は日本との関係が濃密であるため、とても親日的な人が多い代わりに反日的な人も多い。

日本と取引があったり、日本人の友人がいたりして、心情的には日本が好きだけれど、政治的には「反日」という人もいる。

トルコの場合、日本との関係は、まだ希薄であるため、とても親日的な人はそれほど多くない代わり、反日的な人も余りいない。経済摩擦などもないからだ。

「何となく日本が好きだ」という人はかなりいるだろう。でも、日本と取引があったり、日本人の友人がいたりする人は、韓国に比べたら、ほんの僅かに過ぎない。

しかし、これから経済的な関係が発展したら、摩擦も生じれば、反日的な人も増えるのではないか。その代わり、日本との関係が濃密になって、親日の度合いも増してくるに違いない。

それから、韓国の政治的な「反日」だが、これはある程度仕方ないと思う。かつて日本が、朝鮮の独立を奪い、朝鮮の人々を差別した歴史的な罪が消え去ることはないのだろう。これを帳消しにする為には、再び米国と戦争して勝ち、世界に覇を唱えるより他になさそうだ。そんなことを本気で考える人がいればの話だけれど・・・。