メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

読書・映画・音楽

ミッドナイト・エクスプレス

広島・長崎への原爆投下に関する発言で、オリバー・ストーンが話題になっていた。オリバー・ストーンと言えば、私は直ぐにあの“トルコに対する悪意に満ちた映画ミッドナイト・エクスプレス”を思い出してしまう。ストーンが脚本を書いたそうだ。その為、この…

イリアスの韓国語訳

6月1日は、タクシム広場近くの韓国料理店“タクシム”で、韓国製(?)催涙ガスの匂いを嗅ぎながら、中国式の“マンドゥ(餃子)”を御馳走になったが、その前に、タクシムにあるもう一つの韓国料理店“カヤ”にも寄ってきた。“タクシム”は、93年頃にイズミル…

ハンガリー映画「イスタンブール」

先日、DVD屋で偶然「イスタンブール」というハンガリーの映画を見つけた。イスタンブールを舞台に、トルコの有名なシンガーソングライターで俳優でもあるヤヴズ・ビンギョルが出演している。 ハンガリーにはとても興味があるから、躊躇わずに購入して、早…

日本の少子化~小津安二郎の「彼岸花」

20代前半の頃じゃなかったかと思うけれど、戦前に青春を過ごしたような年配の文化人が、「今の若い者は恋愛もできないのか・・・」などと雑誌に書いているのを読んで、「ご冗談でしょう?」と言いたくなった。 小津安二郎の映画なんか観ていれば、その世代…

黄金餅

江戸というのは随分と酷い都市だったらしい。地方の農村から、家督を継げない次男坊やら三男坊が江戸に押し寄せてくるけれど、ろくに仕事もないため、皆貧乏長屋暮らし。もちろん結婚なんて出来ない。少し稼げる奴は金で女を買えるから、女郎屋が花盛り。金…

ソビエト映画-「私は20歳」

“私は20歳”という1962年に制作されたソビエトの映画があって、私はこれを90年、つまりトルコへ渡る前に、神保町の岩波ホールで観たように記憶していましたが、今、調べて見たら、この作品が岩波ホールで上映されたのは、1995年のことでした。 そ…

不干斎ハビアン

以前にも御紹介したこの本に、不干斎ハビヤンという安土桃山時代から江戸時代にかけて生存した人物の信仰の軌跡が記されています。 不干斎ハビヤンは、禅宗の寺で育ちながら、19歳でキリシタンとなり、「妙貞問答」という書物を著して、キリスト教の伝道に…

寒さと悲しさの相乗効果

リヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲の冒頭、あの夜明けの場面を聴くと、何だか雄大な山の景色が迫ってくるように感じられますが、あれは果たして、本当に曲を聴いてから山の景色が連想されたのか、それとも、もともと“アルプス交響曲”と銘打ってある…

ノルウェイの森

2004年だったか、ギリシャへ行くバスに同乗していた韓国人の若い女性二人から、いきなり「ハルキ、読んだことあります?」と訊かれた時は、ちょっと面食らってしまいました。 韓国では、既に“ハルキ”で通っているんでしょうか。しかし、彼女たち、旅に出…

吉田茂とアタテュルク?

日本へ里帰りしていた友人が買って来てくれた以下の本を読みました。 日本の歴史の中でも、とりわけこの辺りの事情は殆ど解っていなかったので非常に新鮮でした。 20年前、韓国へ行った頃は、日本の歴史について問われたり、議論を吹っかけられたりしたも…

山を呼び寄せる男

1ヵ月ほどエーゲ海地方に出かけていて、昨日、イスタンブールへ戻ってきました。 エーゲ海地方はトルコでも宗教色が薄い地域ですが、ここで二人の若いトルコ人エンジニアと思いがけず宗教談義を楽しんできました。 宗教談義と言っても、私の知識では語り合…

バックハウス最後の演奏?

クラシック音楽で、“どの曲には誰の指揮が良い”なんていう付け焼刃の知識は、殆どが高校時代に同級生の友人から得たものでした。友人は御両親が音楽の先生だそうで、子供の頃からクラシック音楽に慣れ親しんでいて、実際、なかなか造詣が深かったんじゃない…

どんな歌を聴いて来たのか

子供の頃、家にあった78回転レコードの中には、父が戦前に買い集めたドイツの歌謡曲などもありました。映画「会議は踊る」の挿入歌から“ただ一度だけ”であるとか、“モンテカルロの一夜”“水夫の恋”などという当時流行った歌謡曲です。 私は小学校3年か4年…

トルコでも読書の秋

昨日から、日本へ行っていたこともあって中断していたトルコ語小説の読書を再開しました。半年以上も中断していたのではないかと思うのですが、辞書を引き引きゆっくり読んでいたこともあって大筋は覚えており、中断した個所からそのまま読み始めています。…