メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ミッドナイト・エクスプレス

広島・長崎への原爆投下に関する発言で、オリバー・ストーンが話題になっていた。
オリバー・ストーンと言えば、私は直ぐにあの“トルコに対する悪意に満ちた映画ミッドナイト・エクスプレス”を思い出してしまう。ストーンが脚本を書いたそうだ。その為、この人物には全く良い印象がない。
なんとなく『話題を先取りするのが巧い』という印象だが、ある程度当たっているような気もする。そのオリバー・ストーンが原爆について語り始めたのであれば、これもアメリカの世論を先取りしているのだろうか? そうであると期待したい。
2006年5月21日付けミリエト紙では、映画に出てくるスウェーデン人服役囚のモデルとなったベンクト・ビョルクルン氏が、38年ぶりにイスタンブールを訪れ、トルコ人ジャーナリストのインタビューに答えている。
それによると、映画における描写とは異なり、トルコの刑務所には、なかなか自由は雰囲気があったようだ。ビョルクルン氏は、「トルコの刑務所では、服装も自由だったし、ギターもあれば、絵の具や本もあったけれど、スウェーデンの刑務所で、これらは全て取り上げられました」と語っている。
また、氏はイスタンブール市内のホテルで、同宿していた日本人の恋人と共に逮捕されており、既に妊娠していた彼女と刑務所所長の自室で結婚式を挙げてもらったそうである。
トルコの刑務所の様子が描かれている映画としては、他に、ユルマズ・ギュネイ監督の「路」が思い出されるけれど、「路」では、刑務所に“帰省休暇”という制度があることに、まず驚かされた。普通に考えたら、休暇が終わっても誰一人、刑務所には戻って来ないのではないだろうか。刑務所内でも自由な服を着ていたし、小鳥を飼っている服役囚も登場していた。
やはり、“きつい・苦しい・辛い”が大嫌いなトルコの人たちでは、“ミッドナイト・エクスプレス”で描かれたような刑務所暮らしに、とても堪えられないのではないかと思ってしまった。

*写真は、ビョルクルン氏が服役していたスルタンアフメット刑務所を改装してオープンした“フォーシーズンズ・ホテル”。

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