メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ギリシャ正教会のエルピドフォロス大司教と宗務庁のエルバシュ長官

9月20日、ニューヨークで「Türkevi(Turkish House)」のオープニング式典がエルドアン大統領臨席のもとで執り行われた。

「Türkevi(Turkish House)」は、とりあえず「トルコ館」と日本語に訳して置く。

トルコ館は、1977年にIBMの社屋をトルコ政府が買い取って、ニューヨーク総領事館等を含む施設として利用して来たが、老朽化したため、2017年に取り壊し、新たに36階建てのビルとして建設されたという。

以下のYouTubeの動画は、ジャーナリストのハーカン・チェリック氏がオープニング式典の模様を伝えたものだが、見出しの写真には、テープカットの際、イスラムの祈祷を捧げたトルコ宗務庁のアリ・エルバシュ長官と在米国ギリシャ正教会のエルピドフォロス大司教が談笑している場面が使われている。

エルピドフォロス大司教は、トルコ館のオープニング式典に招待されて応じたため、ギリシャのミツォタキス首相から会見を拒否されたことが報じられていたけれど、私はこのエルピドフォロス大司教アテネ大主教庁に所属するギリシャの人なのかと思っていた。

ところが、上記のYouTubeの動画では、5分経過した辺りでチェリック氏がエルピドフォロス大司教トルコ語でインタビューを試みている。

エルピドフォロス大司教も当たり前にトルコ語で応じているが、調べてみたところ、彼はイスタンブール生まれのルム(ローマ人の意でトルコに住んでいるギリシャ人はそう称されている)であり、チェリック氏の問いに次のように答えている。

アメリカで暮らしているイスタンブールのルムとして、トルコ館に招待されたのは非常に喜ばしいことです。私たちのトルコ館が皆さんの幸福となるよう祈ります。」

これにチェリック氏が「貴方もここで催される活動に参加しますよね。ある意味、貴方もイスタンブール人として主催者の1人なわけですから・・・」と語りかけると、「インシャッラー!(神の思し召しがあれば・・)」とイスラムに由来するトルコ語の言葉を繰り返し、「そうです。ここは私たち皆の館ですから・・」と言い添えている。

そもそも、エルピドフォロス大司教もトルコ国籍を有しているはずだから、もちろん主催者の1人であるし、「私たちのトルコ館」と表現して何の不思議もないのである。

これに続いて、エルピドフォロス大司教が宗務庁のアリ・エルバシュ長官と談笑する場面が見られるけれど、チェリック氏がこの場面を見出しの写真に使っているのは、なかなか興味深いことじゃないかと思う。

*訂正:「エルピドフォロス大司教も国籍はトルコにある」と記してしまいましたが、大司教ギリシャや米国の国籍を有する多重国籍者である可能性もあるので、「エルピドフォロス大司教もトルコ国籍を有している」と訂正しました。

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