メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

救済処置法案の撤回

「児童性的虐待防止法」により、「夫」が服役している家族を救済する目的で提出された法案は、どうやら撤回に追い込まれたようだ。

「一旦、取り下げる」といった曖昧な言い方だが、批判の高まりに驚いて撤回したというのが真相らしい。

AKPは議会の過半数を押さえているので、強行も可能ではあったけれど、政権寄りの保守的な識者、特にイスラム的な女性たちから、厳しく批判されたのがこたえたと見られている。エルドアン大統領の次女スメイエ氏も強く反対していたという。

トルコでは、まだ東部の農村地域等に、親たちが14~15歳の娘を嫁がせてしまう風習が残っているそうである。(もちろん法的には、16歳未満の結婚は認められていない)

AKP政権も、この風習を根絶させようとして、様々なキャンペーンを行ったり、違反者に厳罰を科す「児童性的虐待防止法」を成立させたりしてきた。

17歳で14歳の女子と駆け落ちし、一年後に子供が生まれたために発覚して逮捕されたという青年は、日本の状況を考えたら、なかなか健気に思えてしまうが、これを許すと風習の根絶が難しくなるということかもしれない。

しかし、イスタンブールといった大都市の若者たちは、平均的な初体験の年齢が、日本よりも遥かに高いような気がする。コーカソイドトルコ人は、性的成熟が西欧人並みに早いものの、婚前交渉を戒めるイスラムの信仰等々がブレーキになっているのだろう。

親たちが14歳の娘を嫁がせる場合はもちろん、14歳の女子と駆け落ちした17歳の青年も、一応、導師の前で神に誓う「宗教的な結婚」は済ませていたのではないかと思われる。

とはいえ、トルコにも、未成年の女子と淫らな行為に及ぶ大人がいて、時々事件になったりしている。こういう大人たちの中には、外見は信仰に篤そうなムスリムも含まれているから、所詮、宗教が人間の欲望にブレーキを掛けようとしても、その効力は限られているに違いない。

そして、欧米や日本で見られたように、トルコの若者たちの間でも、その効力がますます失われて行くのは、産業化・都市化に伴う必然的な成り行きじゃないかと思う。

将来、14~15歳の女子が、平気で不純異性交遊を楽しむようになったら、それでも当局は、相手の男に懲役刑を科すつもりなんだろうか?

merhaba-ajansi.hatenablog.com