メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

水は健康の源

カドゥキョイのバスターミナルで、ペットボトルの水を売って歩く人たちがいる。いったい1日にどのくらい売れるのだろうか?
ターミナル周辺の商店まで行けば、25クルシュ(約12円)で売っている50cc入りペットボトルを75クルシュで売るわけだから、おそらく1本につき50クルシュの儲けになる。100本売って50リラ、2500円ぐらいの計算だ。
しかし、商店まで行く手間を惜しんで、50クルシュも高い水を買ってくれる人は、それほど多くない。出発間際のバスに乗り込んで、「水、水、冷たい水!」と声を張り上げても、全く売れなかったりする。
売り子を1人つかまえて、「1日に何本売れるの?」と訊いたら、「150~200本」と言う。それもラマダン中は半分以下に落ちていたし、少し涼しくなれば、もっと売れなくなる、冬場は菓子を売る仲間もいるそうだ。
もう1人、ちょっとぼんやりした感じの兄貴にも訊いてみた。
「何本なんて数えていないよ。1ケース売っていくらで仕事しているから・・・」 
「100ぐらいは行く?」
「100ケース? そんな売れたら、もう故郷に帰っているよ! 多くて8ケースぐらいだ」
1ケースが24本というから、やはり200本ぐらいになる。いくらか少なめに言ってるような気もするけれど、だいたいそんなところだろうか。兄貴は、「でも、訊いてくれて嬉しいよ。この国の連中は、誰も俺たちのことなんか気にしていないんだ」と話していた。
夏の盛りに、休みなく働いたとして、多く見積もっても月に15万円ぐらいの収入。現在、トルコで法的に定められている最低賃金が、手取りで4万円ぐらいだから、それに比べれば悪くない。しかし、あの暑い中を売り歩いていたら、自分も水を飲みたくなってしまうだろう。楽な仕事じゃないと思う。
まあ、要領の良い人は、もっと売っているかもしれない。バスに乗り込んで来て、「水、水、冷たい水!」だけじゃなくて、口上を述べる青年もいた。
「水は健康の源です。血圧を下げます。糖尿病を防ぎます。心筋梗塞脳卒中、あらゆる病気に効きます」と言いながら、中ほどまで来て、いちゃついているアベックの乗客を見ると、すかさず「恋にも効きます」と付け加えた。車内爆笑で、そのアベックはもちろん、数人が手をあげて水を買っていた。

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