メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

日経新聞で紹介されたトルコワイン

11月16日付け日経新聞夕刊の「酒紀行」というコラムのテーマは「トルコワイン」だった。

イスタンブール支局の木寺氏による記事は、現地取材により、意欲的な醸造元を紹介しているばかりでなく、トルコワインの歴史的な背景まで明らかにして、とても読み応えがあり、トルコフリークの私にとっては実に感動的な内容である。

こうして、「今のトルコ」が、より多くの人たちに伝えられることを願ってやまない。

記事を読むと、トルコのワイン生産は、近年、ますます発展しているようだ。トルコでもワインの愛好家は増えているのだろうか?

私がトルコで暮らしていた6年前でも、メイハーネ(居酒屋)の様子を見る限り、ワインよりもラクを飲むトルコ人が多かった。何処のメイハーネでも店内にはラクの強い芳香が漂っていたくらいである。ラクをトルコの国民酒であるかのように言う人もいる。

私は今でこそ、ラクの芳香を懐かしんでいるけれど、トルコに居た頃は、もっぱらワインを飲んでいた。ラクは、芳香はともかく、甘味がちょっときついと感じていたのである。

初めてトルコを訪れた方たちをご案内すると大変喜ばれたタクシムのオジャックバシュ(炉端焼き風のケバブ屋)でも、飲むのは、大概、ビールかワインだった。

それが、何かの拍子に一度ラクを頼んでみたところ、店主のおじさんは、いつも見せたことがないような笑顔で喜び、私の肩に手を回した。

その様子は、何だか『お前もやっとトルコ人になってくれたな!』と言っているかのようだった。

結局、それ以来、『ワインを飲みたいな』と思いつつも、おじさんを悲しませないようにラクを飲むことになってしまった。

まあ、スパイシーなアダナケバブには、ラクの強い芳香も結構相性が良いかもしれない。しかし、トルコでワインを好む人がもっと増えたら私も嬉しい。